自律神経(交感神経と副交感神経)に作用する薬
自律神経と効果器の働き
自律神経を学ぶことで、多くの薬を理解することができます。この表を下に示しますが、一見とても複雑のように思えます。
しかし、実は当たり前の事を書いている表であることを理解することもできます。
交感神経 |
器官 |
副交感神経 |
散大 |
瞳孔 |
縮小 |
分泌 (濃い粘りのある液) |
唾液 |
分泌 (大量の薄い液) |
拡張 |
気管支 |
収縮 |
収縮 |
末梢血管 |
拡張 |
亢進 (拍動数増加) |
心機能 |
抑制 (拍動数減少) |
抑制 |
消化管運動 (胃腸の蠕動運動) |
亢進 |
分泌抑制 |
胃液・膵液 |
分泌増加 |
排尿を妨げる |
膀胱(排尿) |
排尿促進 |
交感神経興奮は運動時など体を活発に動かしている時を想像してもらえば良いです。このとき心臓の鼓動は早くなり、消化管の機能は抑制され、唾液は粘っこくなります。
それに対し、食事をしている時など副交感神経は体を休めている場面を想像すれば良いです。体を休めているので心臓の鼓動はゆっくりで、食事の時は胃や腸などの消化管運動が活発になり、唾液は比較的サラサラなものとなります。
自律神経に作用する薬
自律神経の作用を理解すれば、多くの薬の作用機序を理解することができます。以下に、自律神経に作用する薬の例を示しています。
例えば交感神経であれば、α受容体やβ受容体に作用して交感神経を興奮させれば気管支拡張や血管収縮などの作用を得ることができます。
他にも食事中など副交感神経が興奮している時は胃や腸などの運動が活発になっています。つまり、副交感神経を刺激する薬を投与すれば消化器系(胃や腸など)の機能を改善できることが分かります。
その反対に交感神経を抑制するように働けば、心臓の機能は抑制されて血管は拡張することが分かります。これらの作用によって、病気を治療することが可能となります。
このように、自律神経を理解することで薬に関しても応用することができます。
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