「薬と環境を考える」のおわりに
この「薬と環境を考える」を最後まできちんと読まれた方、あなたの知識は読む前と比べてかなり増えたのではないでしょうか。
得るものもたくさんあったはずです。「農薬などの薬剤は体に悪い」ということを知っているけど具体的にどうして悪いのか。また、どうして農薬を完全廃止するのは難しいか。なぜそれらの有害物質が含まれていない有機栽培はよいのか。化学物質が胎児に与える影響は。食品を加熱で殺菌しただけでは安全でない理由は。
真面目に読んでくれた方なら、今ここで紹介した質問に全て答えることができると思います。そして、今までと違った見方で物事を見据えることができるのではないでしょうか。
危険な信用
新聞やテレビ、雑誌に書いてあるからといって、そこに書いてあることを全て信用してほしくありません。なぜならそこに紹介されていることは全てが真実とは限らないからです。
例えば、「生態系」で紹介したDDTという殺虫剤があります。当時、DDTはヒトに対して無害であると考えられていました。さらに少量で害虫に効果があり、これによりマラリアが激減しました。このDDTの発見者パウル・ミュラーはノーベル賞を受賞しています。
つまり当時は安全(と考えられていた)DDTを使用することに全く疑いをもつことはありませんでした。企業もDDTは安全と言い、どんどん宣伝していました。その結果としてどんな災害を招いたかはもう分かるはずです。
サリドマイドや薬害エイズでも同じことです。「サリドマイドは安全な薬です」、当時の企業はこう宣伝していました。それを信じて薬を飲んだ人はどうなったでしょうか。
真実を見極める
私たちは普段の生活の中でも物事を正しく判断することが求められています。新聞で紹介されているから、大企業が宣伝しているから「とりあえず体にいい」と思ってはいけません。
例えば、「キシリトール」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。キシリトールを噛めば「虫歯ならない」と勝手に思っていないでしょうか。
もしそう思っているならば、完全に企業の作戦にはまっていることになります。CMでも「キシリトールで虫歯ゼロへ」という雰囲気で宣伝しています。
砂糖などを含む普通のガムは虫歯の原因となる酸が作られてしまいますが、確かにキシリトールからは虫歯の原因となる酸を作ることはできません。長期的にキシリトールを摂取すると、虫歯菌の数を減らすという報告もあります。
しかし、キシリトール自体には医薬品ほどの作用はありません。「キシリトール=虫歯にならない」と考えるのはとても危険なのです。
要はこのサイトを真剣に見てくれた人だけでも、私がこのサイトの「サイト概要」で紹介した「情報を自分で見極めること」、情報を見極めるために「知識を得ること」を実践してほしいと願っています。
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