治験
治験とは、新しい薬を開発するとき、「薬としての効果があるか」、「副作用はあるか」などを調べるために、実際にヒトに投与して検証する試験のことです。この治験にはⅠからⅣまでの四つの段階があります。
以下に、それぞれⅠ段階からⅣ段階までを説明します。なお、治験を行うに当たって、プラセボ効果を考慮する必要があります。
第Ⅰ相試験(フェーズⅠ)
健康な成人(通常は男性)に対して行う試験です。「薬がどのように吸収されて代謝していくか」や「副作用の有無」などを調べます。
なぜ男性だけに適応されるのかですが、この段階では薬の安全性が確立していないためです。将来子どもを生む母体を危険に曝さないため、通常は男性のみに行います。
なお、抗がん剤の治験は健常人に行われることはありません。抗がん剤の場合、最初からがん患者に対して投与されます。これは、体への負担が大きい抗がん剤によって、健常人の健康を害すことのないようにするためです。
第Ⅱ相試験(フェーズⅡ)
少数の患者を対象に、薬の有効性や副作用の検討を行う試験です。第Ⅱ相試験では、薬の投与回数や投与間隔・投与量などを手探りで探していきます。
第Ⅲ相試験(フェーズⅢ)
第Ⅱ相試験よりも多くの情報を得るため、多数の患者を対象に新薬の有効性と安全性を調べるための試験です。
無事に第Ⅲ相試験をパスし、有効性・安全性が確認されれば医薬品として市場に出回ります。
なお、第Ⅲ相試験までを治験と指す場合もあります。
第Ⅳ相試験(フェーズⅣ)
医薬品が市場に出回った後に、新たな副作用が確認されないかを試験するための調査です。
第Ⅲ相試験で行われる治験の人数は多くて数百人程度です。実際に市場で使われるようになると、その何百倍・何千倍もの人に投与されることになります。
生活環境は人によってさまざまなので、第Ⅲ相試験では出てこなかった新たな副作用が確認されるかもしれません。そこで、医薬品が市場に出た直後からその安全性の検討を行います。
これを、市販後調査(PMS)といいます。製薬企業には、この市販後調査が義務付けられています。
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