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役に立つ薬の情報~専門薬学

抗てんかん薬

 

 てんかんの種類
脳細胞において異常な電気放電が発生するとてんかん発作が起こる。てんかんは慢性疾患であり、原因不明な場合を「原発性(真性) てんかん」、原因が特定できる場合をを「症候性てんかん」という。

 

てんかんは大きく次の三種類に分けることができる。

 

○強直・間代発作
○欠神発作
○部分発作

 

強直・間代発作は大発作とも言われ、けいれんと意識消失を伴う。それに対し、欠神発作は意識消失が主であり、けいれんを伴わないことが多い。部分発作は意識障害・異常行動などを起こす。

 

てんかんの種類

けいれん

意識消失

特徴

強直・間代発作

けいれんと意識消失を伴う。

欠神発作

-

小児に多く、意識消失が主である。

部分発作

(部分的)

-

(意識障害)

意識障害・異常行動を起こす。

 

抗てんかん薬はてんかんの種類によって使い分けないといけない。適切に使用しないと、症状を逆に悪化させることもある。

 

抗てんかん薬の作用機序であるが、考え方はとても簡単である。脳細胞に異常な電気信号が発生しているから、てんかんが起こるのである。それならば、脳の活動を抑えるように働けば良いのである。

 

具体的には次のようなものがある。

 

○ Naの透過性抑制
○ Ca2+の透過性抑制
○ Clの透過性亢進

 

神経伝達やその興奮にはNaやCa2+が関与している。そのため、これらの働きを抑制すれば良い。また、「ベンゾジアゼピン系薬・バルビツール酸系薬」で学んだように、Clの働きを強くすることで脳の作用を減弱させることができる。

 

以下に抗てんかん薬を示す。

 

 強直・間代発作、部分発作に用いる薬物
 ・フェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントール)
フェニトインはNaの透過性を抑制することで抗てんかん薬としての作用を表わす。強直・間代発作、部分発作などに用いられるが、欠神発作は悪化させる。

 

副作用として歯肉肥厚がある。

 

 ・フェノバルビタール(商品名:フェノバール)、プリミドン(商品名:プリミドン)
プリミドンは代謝されてフェノバルビタールとなる。フェノバルビタールは名前に「~ビタール」となるので、バルビツール酸系薬と容易に想像できる。

 

バルビツール酸系薬なので、作用機序はClの透過性亢進である。欠神発作に対しては無効である。

 

 ・カルバマゼピン(商品名: テグレトール)
カルバマゼピンは細胞内へのNa流入を抑制する。抗てんかん以外に三叉神経痛、躁病にも有効である。

 

欠神発作の評価法としてペンテトラゾールという薬物によるけいれん誘発があり、カルバマゼピンはこのペンテトラゾールによるけいれん誘発を抑制する。しかし、ヒトでの欠神発作は無効であるため、欠神発作には用いられない。

 

 欠神発作に用いられる薬物
欠神発作に用いられる薬物としてトリメタジオン、エトスクシミド(商品名:エピレオプチマル、ザロンチン)がある。これらの薬物はCa2+の透過性を抑制する。強直・間代発作はむしろ悪化させる。

 

 ほとんどのてんかんに有効な薬物
 ・ベンゾジアゼピン系薬
ほとんどのてんかんに有効なベンゾジアゼピン系薬としてジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)、ニトラゼパム(商品名:ベンザリン、ネルボン)、クロナゼパム(商品名:リボトリール、ランドセン)がある。ジアゼパムはてんかん重積症に静注で用いられる。

 

てんかん重積症とは、てんかん発作が短時間内に繰り返し起こる状態の事であり、生命の危険もあり得る。

 

 ・バルプロ酸ナトリウム
バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン、セレニカ)はGABAトランスアミナーゼを阻害することによってGABAの量を増大させ、結果としてClの作用を強める。

 

 バルプロ酸ナトリウムの作用機序

 

薬物名

強直

間代

発作

欠神

発作

部分

発作

作用機序

特徴

フェニトイン

×

Na透過性抑制

欠神発作を悪化
・副作用 :歯肉肥厚

フェノバルビタール

-

Cl透過性亢進  
プリミドン

-

Cl透過性亢進 体内でフェノバルビタールに変換
カルバマゼピン

-

Na透過性抑制 ペンテトラゾールけいれんを抑制
トリメタジオン

×

-

Ca2+透過性抑制 強直・間代発作を悪化
エトスクシミド

×

-

Ca2+透過性抑制
ベンゾジアゼピン系薬

Cl透過性亢進 ジアゼパムはてんかん重積症に使用可能
バルプロ酸ナトリウム

Cl透過性亢進 作用機序:GABAトランスアミナーゼ阻害

  ※ ○:有効、 -:無効、 ×:悪化

 

抗てんかん薬を覚えるとき、三つに区切って考えると覚えやすい。赤枠の薬物は「強直・間代発作、部分発作」に使用され、トリメタジオン・エトスクシミドは「欠神発作」のみに有効である。ベンゾジアゼピン系薬・バルプロ酸ナトリウムはほとんどのてんかんに有効である。

 

また、バルビツール酸系薬であるフェノバルビタール・プリミドンやベンゾジアゼピン系薬の作用機序が「Cl透過性亢進」であることは容易に想像がつく。

 

そして、欠神発作に使用されるトリメタジオン・エトスクシミドの作用機序が「Ca2+透過性抑制」と覚えていれば、残ったフェニトインとカルバマゼピンの作用機序は「Na透過性抑制である」と考えることができる。ただし、バルプロ酸ナトリウムの作用機序は覚えるしかない。

 

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