A型インフルエンザウイルスとパンデミック
インフルエンザの構造
インフルエンザの構造について確認していきたいと思います。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の三種類があります。そのうち、毎年流行を起こすウイルスはA型とB型です。
鳥インフルエンザなどパンデミックを起こすウイルスはA型のみとなっています。
A型インフルエンザウイルスにはヘマグルチニン(HA)とイラミニダーゼ(NA)というものが存在します。重要なのは、このNAとHAにいろいろな種類があるということです。HAは16種類、NAは9種類の型が知られています。
なお、A型は人、鳥、豚、馬など多くの哺乳類に感染するのも特徴です。
鳥インフルエンザ
先ほど、インフルエンザウイルスのHAとNAについて説明しましたが、A型インフルエンザウイルスの種類はこのHA とNA の型によって決定されます。
例えば、3型のHA と2型のNA の場合、H3N2のウイルスとなります。
この中で人に感染する種類はHAが1~3まで、NAが1~2の亜型までとなっています。
鳥に感染する種類であるとHAは16種類すべてであり、NAも9種類すべてとなっています。つまり、鳥インフルエンザは「16×9」で、理論的には144種類の型があります。
例えば、鳥インフルエンザのH5N1 がヒトからヒトへ感染する場合を考えます。先ほど説明した通り、人に感染するHAは1~3であるため、5型のHAはヒトがこれまでに経験したことのないウイルスとなります。
これによって、パンデミックが起こります。
パンデミック発生の歴史
インフルエンザウイルスは同じ型であっても(例えば同じH1N1のウイルスでも)、毎年少しずつ変異しています。
ここに、鳥や豚など他由来のウイルスによって大幅にインフルエンザウイルスの型が変化した場合、新型ウイルスとなります。
過去に起こったインフルエンザによるパンデミックとしては、スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪などが知られています。
スペイン風邪は鳥インフルエンザ由来のH1N1亜型に由来し、当時の人にとってはそれまで経験したことのない全く新しいインフルエンザウイルスでした。
世界で4000万人が死亡し、6億人に感染したと言われています。当時の世界人口が約18億人だったことから、世界で猛威を振るった感染症であることが伺えます。
パンデミック発生の仕組み
パンデミック(大流行)発生の仕組みについて確認します。
これまでのインフルエンザウイルスであれば、人から人へのみの感染、鳥から鳥への感染のみでした。鳥に寄生するインフルエンザウイルスが人に感染することはありません。
新型インフルエンザの場合、ヒト由来のインフルエンザウイルスと鳥由来のインフルエンザウイルスが混ざり、新しいタイプのインフルエンザウイルスが発生します。
例えば、豚は人と鳥の両方に由来するウイルスに感染します。ここで、鳥インフルエンザウイルスの性質をそのままに、人へ感染する能力を獲得すれば、新型インフルエンザウイルスが発生します。
パンデミック警戒レベル
WHOのパンデミック警戒レベルによると、1から6段階のフェーズに分かれています。数字が大きくなるほど、感染リスクが高くなります。
フェーズ1~2の場合、感染は主に動物間であるため人への感染リスクは低いです。
フェーズ3~4であると、限定的・地域的に人から人への感染が確認されている段階です。この感染がより広い地域で確認されるようになると、広範囲で人から人への感染が起こっているフェーズ5や6へと引き上げられます。
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