感染症とは
感染症とは
感染症が成立するためには、主に「病原菌、感染経路、感受性宿主」の三つの要因が成り立つ必要があります。
まず一つ目が「病原菌」です。病原菌は感染症を引き起こす原因微生物のことです。病気を起こす菌がいるから感染症が起こるという考えです。
二つ目が「感染経路」です。感染経路とは、病原体が新たに感染を起こすための経路のことです。この感染経路をシャットアウトすることが出来れば、病原菌による感染が起こることはありません。
三つ目に「感受性宿主」があります。感受性宿主とは、私たちの免疫力のことを指します。病原菌による感染が起こったとしても、免疫力がしっかりしていれば感染症は起こりません。特に小児の免疫力は成人に比べて十分とは言えないため、年齢などの要因も関与します。
これら三つの要因が全て重なることで感染症が起こります。逆に言えば、どれか一つの要因でも取り除くことが出来れば感染症に罹ることはありません。そのため、これらの要因を取り除くことが感染症対策に繋がります。
病原菌への対策
病原菌への対策について確認していきます。
感染症の症状が出ている患者さんには、当然ながら注意が払われます。ただし、注意すべき点があります。それは、「病原菌が潜伏期間中に体外へ排泄されている場合」、また「症状が落ち着いても、病原菌が体外に排泄され続ける場合」などです。
これらの患者さんでは、たとえ症状がなかったとしても病原菌を排泄していることになります。そのため、感染症の症状がでる前後でも気をつける必要があります。
血液にはHIV やC 型肝炎ウイルス、喀痰には結核菌やインフルエンザウイルス、便にはO-157 やノロウイルスが潜んでいる可能性があります。
そのため、患者・保菌者の排泄物・汚染物の消毒が重要となります。
感染経路の種類
感染経路の種類について確認していきます。感染経路としては「飛沫感染、空気感染、接触感染」があります。
飛沫感染は、くしゃみなどをした時に出る細かい水滴、しぶきによって起こる感染です。インフルエンザなどが飛沫感染によって感染します。
次に空気感染です。空気感染は空気中を漂っている病原菌によって起こります。結核、はしかなどがこれに当たります。
三番目に接触感染です。接触感染は「病原菌が付着したタオル・容器」や「皮膚同士の接触」によって感染します。ノロウイルスやO-157 などが接触感染によって感染を引き起こします。
このように、感染経路には主に三つがあり、それぞれの感染経路によって対策が異なってきます。
飛沫感染と空気感染(飛沫核感染)
飛沫感染と空気感染の違いについて説明します。
飛沫はくしゃみなどにより、病原菌の周りに水分がくっついている状態を指します。飛沫は直径5 マイクロメートルより大きい粒であり、すぐに床へ落下します。この飛沫による感染が飛沫感染です。
飛沫の水分が蒸発すると、粒子が軽くなり、長時間空中を浮遊するようになります。直径は5 マイクロメートル以下であり、この軽くなった粒子を飛沫核と言います。この飛沫核による感染が空気感染です。
感染経路への対策
感染経路への対策としては「手洗い・手指消毒の実践」、「マスクや手袋の使用」などがあります。感染経路対策にはこれら備品の確保が重要であり、適切な対処をする必要があります。
血液、体液、喀痰、尿、そして糞便など、これらの触れる恐れがある場合、あらかじめ手袋を着用します。
床にこぼれた場合、手袋を着用し、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬を使用します。
実際に触れるときは、必ず使い捨て手袋を着用し、手袋を外した後も手洗いをする必要があります。
感受性宿主への対策
感受性宿主への対策について確認していきます。
人体には病原菌と戦うための免疫機構が備わっており、健康状態の維持が必要です。特に、免疫力の強くない小児に対しての衛生教育の啓蒙と実践が重要となります。
具体的には手洗い・うがい、歯磨きなどの生活習慣の改善、規則正しい睡眠と十分な栄養を取るように指導します。
このように健康状態の維持が重要ですが、ワクチンによる予防接種によって免疫を与え、未然に感染症を防ぐも大切です。
ワクチンには「法律に基づいて実施される定期接種」と「希望する人のみに実施される任意接種」があります。定期接種には百日咳やジフテリア、破傷風などがあり、任意摂取には水痘やインフルエンザ、ロタウイルスなどがあります。
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