主な耐性菌の種類
感染症を起こす主な耐性菌
主な耐性菌について見ていきたいと思います。
一つ目にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)があります。MRSA は1970 年代から、院内感染の原因菌として注目されてきました。
二つ目にVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)があります。耐性菌が出ないと考えられていたバンコマイシンに対する最初の耐性菌です。
三つ目にMDRP(多剤耐性緑膿菌)と多剤耐性アシネトバクターがあります。この病原菌は、ほとんどの抗菌薬が効きません。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
黄色ブドウ球菌の特徴としては、皮膚や腸管に存在する常在菌であり、通常は無害であるということです。手指などを介する接触感染が主となっています。
重篤な症状としては表皮感染症、食中毒、敗血症、肺炎などがあります。
黄色ブドウ球菌が薬剤耐性化したMRSA についてですが、抗生物質であるメチシリンに耐性を持つ黄色ブドウ球菌の総称です。現在では、バンコマイシンを含む多剤耐性のMRSA
が問題となっています。
VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)
腸球菌は腸管内に存在する常在菌であり、病原性が低く通常は害がありません。もともと、多くの抗菌薬に耐性をもつ細菌でもあります。重篤な症状としては、敗血症があります。
VRE はバンコマイシン耐性が確認された最初の菌種であり、家畜飼料への抗菌薬投与がVRE 出現に関わったとされています。
腸球菌自体は病原性が低く問題とならないのですが、他の菌種への薬剤耐性遺伝子の伝罵に大きく関与しています。
MDRP(多剤耐性緑膿菌)
緑膿菌は自然環境中に存在する常在菌であり、健常者に感染することはまれです。腸球菌と同じように、もともと多くの抗菌薬に耐性をもちます。
重篤な症状としては敗血症、肺炎、心内膜症、中枢神経感染などがあります。
MDRP は消毒液中であっても、低濃度では増殖することがあります。また、ほとんどの抗菌薬が無効なため、院内感染で特に問題となります。
緑膿菌の自然耐性
緑膿菌の薬剤抵抗性について紹介していきます。 薬剤耐性には二種類あり、「元から備わっている薬剤耐性」である自然耐性と「後天的に獲得した薬剤耐性」である獲得耐性があります。
先ほど紹介した通り、緑膿菌は自然耐性が備わっている病原菌です。これらの耐性機構としては、「薬剤の取り込み阻害」、「取り込まれた薬剤の排出」、「薬剤の分解・修飾」、「薬剤標的部位の構造変化」、「バイオフィルムの形成」などがあります。
緑膿菌はもともと多くの耐性機構を保有しているため、他の抗菌薬への薬剤耐性化もスムーズに進行してしまいます。
多剤耐性アシネトバクター
アシネトバクターは自然環境中に存在する環境菌であり、通常は無害です。呼吸器系など、高い湿度を好みます。
重篤な症状としては敗血症、肺炎、髄膜炎などが知られています。
多剤耐性アシネトバクターに対してはほとんどの抗菌薬が無効であり、乾燥や消毒薬に対しても抵抗性をもちます。
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