薬剤耐性メカニズムと遺伝子伝罵
主な薬剤耐性のメカニズム
病原菌が薬剤耐性を獲得する主なメカニズムについて紹介していきます。
まず一つ目に、薬剤の不活性化があります。これは、薬剤を化学的に修飾・分解する酵素を産出することで耐性を獲得します。耐性獲得の際に、最もよく見られる耐性機構です。
二つ目に、薬剤作用点の変異があります。これは、病原菌側の構造を変化させることで耐性を獲得します。これにより、薬剤が病原菌に作用しなくなります。ウイルスで多く確認される耐性機構です。
三つ目に、薬剤を排出するポンプを獲得することがあります。この「薬剤を細胞外へ排出する機構」ですが、多くの薬剤を外に排出する多剤排出ポンプが大きな問題となります。
薬剤耐性遺伝子の伝罵
また、薬剤耐性を生み出す遺伝子をもつ耐性菌がいる場合、この遺伝子は病原菌同士で伝わっていきます。
そのため、一回でも耐性菌が報告された場合、その後に薬剤に対する耐性菌が確認される確率が数段高くなります。
なお、これら薬剤耐性遺伝子は、たとえ種類の違う菌であっても遺伝子が伝わってしまいます。
耐性菌が増える機構
なぜ耐性菌が増えるかですが、これには抗菌薬の使用が大きく関わっています。
そもそも、抗菌薬を使用していない自然条件化であったとしても、一定数の耐性菌が発生しています。これら耐性菌は通常の菌よりも貧弱であるため、放っておけば淘汰されていきます。
ところが、耐性菌とそうでない菌が混在している状況で抗菌薬を使用した場合、淘汰されるどころか耐性菌のみが生き残ってしまいます。
その後、耐性菌が増殖することでその勢力を拡大していきます。
耐性菌の出現を抑えるには
これら耐性菌の出現を抑えるには、いくつかの方法が存在します。耐性菌が発生しやすい環境があるため、これらを避ければ良いのです。
ここでは、耐性菌が発生しやすい環境を三つ紹介します。
一つ目に、抗菌薬の低濃度投与があります。低濃度の投与を行うことで、病原菌が完全に死滅せず、抗菌薬に徐々に慣れてしまいます。
二つ目に、治療直前での抗菌薬投与の中断があります。これによって、「炎症の悪化」や「耐性菌出現の恐れ」が高まります。
三つ目に、同じ抗菌薬の長期間投与があります。長い間投与するほど、耐性菌発生の確率が高まります。わずかでも病原菌が薬剤耐性化してしまったら、その後は急速に耐性菌が蔓延していきます。
耐性菌の出現を抑えるためには、上記の「耐性菌増加の原因」を避けて抗菌薬を使用する必要があります。
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