天然物由来と合成品
天然物由来を使用した製品と化学的に合成した製品、みなさんはどちらを好んで使用するでしょうか。当然、天然物由来の方ですよね。合成の方が良いと言われたら話が進みません。
ここで一つ尋ねたいことがあるのですが、みなさんは「天然物=良、合成物=悪」と考えていないでしょうか。しかし、本当はそうではありません。もちろん、合成品が良いとは言いませんが……。
農薬の化学
「サプリメントと農薬」は全く関係がないですが、「合成品と農薬」という話でなら似ている部分があります。
さて、みなさんに質問です。農薬に対してどのようなイメージをもっているでしょうか。当然、「農薬=悪」ですよね。
しかし、「農薬がなければ日本の農業は壊滅してしまう」と言われればどうでしょうか。例えば、農薬を使用しないと「りんご」や「もも」は栽培できないと言っても過言ではありません。農薬を全面禁止にすると、私たちはりんごやももを食べることができなくなってしまいます。
こう考えると、世の中には農薬も必要だということが理解できるのではないでしょうか。当然ながら、「農薬=悪」ではありません。農薬には良い面も悪い面もあります。
天然と合成
そもそも天然由来が良く、合成品が悪いという考え自体が間違っているのです。天然の物でも毒になる物質はいくらでもあります。合成品でもすべて害があるというわけではありません。
企業は「天然由来である」と強調して宣伝する傾向があります。それは、私たちが合成は悪いと勝手に思い込んでいるからなのです。
合成と書かれていれば、その製品は売れにくいのです。逆に天然であれば、私たち消費者は喜んで買ってしまいます。しかし、その成分だけを見れば機能的にはあまり変わりません。
ビタミンCを例にとって見ると、合成のものと天然のものがあります。それでは、どちらが機能的にすぐれているでしょうか。
結論から言うと、化学的に同じなら機能的に全く変わりません。分子の構造が全く同じなのに、機能が異なるということはありえません。また、製造のコストで言うと合成の方が有利になります。
それでは、合成品も天然由来も全く効果が同じかというと話は違ってきます。
天然と合成の違い
ビタミンCの効果で天然由来と合成品とで違いがあったとします。これは、何によって起こったのでしょうか。
これは、当然ビタミンCの違いではありません。「ビタミンC以外の物質が働いた結果」と考えることが出来ます。
そう考えると、野菜や果物に含まれるビタミンCとサプリメントとして摂取するビタミンCは化学的には一緒だが、違うものと考えることが出来ます。
そして、「野菜や果物から抽出したビタミンC(サプリメントに含まれる天然由来のビタミンC)と野菜や果物に直接含まれているビタミンCも違うものである」と考えることが出来ます。
天然由来であれ合成品であれ、製造過程で汚染が起こっていないかが重要になってきます。
※ラセミ体(光学異性体)の問題があるため、天然由来の方が合成品よりもいくらか効果があることもあります。逆に、機能的に全く同じ場合もあります。
合成より天然の方が良いとは一概に言えません。私たちの身の回りには情報が溢れているので、さまざまな情報を総合して自分が本当に正しいと思うものを試す必要があります。
自分の健康に関わることなので、他人の情報だけで判断するのは危険です。もちろん、このサイトに記述してあることも例外ではありません。
健康サイトなどの騙し文句
「合成したものではなく、天然由来の成分を使用している」
このような言葉はよく見かけます。しかし、これは全く意味がないことを私たちは理解しなければなりません。
上記のりんごの例の場合、たしかにりんごをそのまま食べることによるビタミンCは他の成分の助けを受け、それ以上の効果を発揮するかもしれません。しかし、「りんごから抽出された単一のビタミンC」と「合成によって得られたビタミンC」は機能的に全く同じです。
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