市販の頭痛薬・生理痛薬(鎮痛剤)の特徴と使い分け
頭痛や生理痛などで市販の鎮痛薬を使ったことのある方は多いのではないでしょうか。ドラッグストアやインターネット通販などでは多くの種類の鎮痛薬が売られており、簡単に購入できます。
ただ、逆に種類が豊富すぎてどれを選んだらよいのかよく分からない、子供も使えるのか、という不安をもつ方は多いです。
また同じような商品名でも「プレミアム」や「クイック」、「ファースト」などが付いた名前の薬があり、違いが分からないこともあります。商品名が違うと成分が全く異なることもあるので正しい理解が必要です。そこで、市販されている鎮痛薬の成分の違いや選ぶときの注意点を説明します。
鎮痛剤の種類
鎮痛薬のパッケージ裏の成分表を見ると、いろいろなカタカナの薬品名が記載されていて何が効くのか分かりにくいですが、主成分は主にイブプロフェン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、ロキソプロフェンの4つと思ってください。このいずれかが入っていることが一般的です。
この主成分に加えて、それぞれの商品によって、効果を高めたり副作用を抑えたりするための成分が加えられていると考えると理解しやすいです。
それでは、みなさんがよく聞く名前の鎮痛薬をいくつか取りあげ、成分や特徴を説明します。
○イブ
・イブプロフェン(150mg):
痛みのもとであるプロスタグランジンの発生を抑えます。15歳未満は使用できません。
○イブA錠
・イブプロフェン(150mg):
主成分はイブと同じですが、他に以下の成分が入っています。
・アリルイソプロピルアセチル尿素(60mg):
痛みに関する感受性を抑える鎮静成分です。これによって眠気を生じることがあるので、車の運転や高所での作業は控えてください。
・無水カフェイン(80mg):
眠気を覚ます作用と、血管の拡張を抑えて鎮痛効果を助ける効果があります。
なお、イブA錠はイブに比べ、フィルムコーティングなので喉へのひっかかりや苦みがないように工夫されています。
○イブA錠EX
イブA錠との違いは主成分であるイブプロフェンの含有量です。イブA錠の150mgに対し、EXは最大量の200mgが配合されています。
○イブクイック
イブA錠の成分に、胃粘膜の保護をする酸化マグネシウムが配合されています。胃酸を中和する作用があるために鎮痛成分の吸収をよくし、素早い効果が期待できます。鎮痛薬を飲むと胃が荒れるという方に向いています。
○バファリンA
・アセチルサリチル酸(330mg):
いわゆるアスピリンです。アスピリンを服用した時に何らかの症状がでたことのある方は避けてください。アスピリンの服用により喘息を起こすことを「アスピリン喘息」といいます。アスピリン喘息といわれたことのある方は、アスピリンだけでなく他の鎮痛剤でも副作用が起こる可能性があるので注意が必要です。
・合成ヒドロタルサイト:
胃の酸性を中和することによりアスピリンを溶けやすくし、胃粘膜への刺激を軽減します。
なお、同じバファリンと名前がついていても、以下の薬にはアスピリンは入っていません。
○バファリンプレミアム
・イブプロフェン(65mg)
・アセトアミノフェン(65mg):
解熱、鎮痛の効果はありますが、炎症を抑える作用はありません。少量で小児にも使う成分です。この二つの鎮痛作用を持つ成分を配合していることから、ダブル処方と謳っています。
・アリルイソプロピルアセチル尿素(30mg):
イブA 錠と同様の鎮静成分です。
・無水カフェイン
・乾燥水酸化アルミニウムゲル:
胃の粘膜を保護します。
なお、バファリンプレミアムは早く効果を出すために、溶けやすくする工夫がされています。
○バファリンルナi(アイ)
バファリンプレミアムと比較して、アリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていないので、眠くなりにくいといえます。学校や職場で眠気がでると困るという方に向いています。
バファリンには他にも、バファリンルナj(ジェイ)、小児用バファリン、バファリンジュニア風邪薬、キッズバファリンシロップSなど、年齢や用途に合わせて、成分も様々な商品があります。
○新セデス
・エテンザミド:
解熱、鎮痛の作用があります。
・アセトアミノフェン
・アリルイソプロピルアセチル尿素
・無水カフェイン
パッケージにACE処方と表記されていますが、これはA アセトアミノフェン、C カフェイン、E エテンザミドの頭文字です。この3種の成分を配合しているという意味です。
○セデス・ハイ
・イソプロピルアンチピリン:
これはピリン系と呼ばれる成分です。「IPA配合」の表記はこの成分のことです。発疹などが起こったことがあり、ピリン系はダメだと医師にいわれている方は、この成分が入っているものを服用しないでください。誤解が多いのは「ピリン系=アスピリン」という認識であり、これは間違いです。
・アセトアミノフェン
・無水カフェイン
○セデスファースト
新セデスに比較すると、眠くなる成分アリルイソプロピルアセチル尿素は含まれず、胃を守る水酸化マグネシウムが配合されています。
○セデス・ハイG
顆粒です。1包の成分と量は、セデス・ハイの2錠(1回量)と同じです。錠剤が苦手な方に向いているでしょう。
以下のロキソニンは、2015年現在においては薬剤師による対面販売が義務付けられています。
○ロキソニンS
スイッチOTCと呼ばれ、医療用のロキソプロフェンが2011年から市販薬として発売され、処方箋なしで購入できるようになりました。
○ロキソニンSプラス
ロキソニンSに、胃の負担を和らげる酸化マグネシウムが配合されたものです。2015年から発売されています。
数ある市販の鎮痛薬のうち、数種類を例にとって説明しました。同じような販売名でも成分や含有量が全く異なるもの、別名称でも成分が同じもの、他の成分が足されているものなどさまざまな違いがあります。
タレントやモデルを起用したテレビコマーシャル、商品が当たるキャンペーン、デザイン性の高いパッケージなど目を引くものが多いですが、ご自分の体や症状にあった薬を慎重に選んで服用して欲しいものです。何を選んだら良いのか分からない時や、気になることがある時は遠慮せずに薬剤師、登録販売者に尋ねてください。
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