保湿剤(尿素の性質)
化粧品などの製品表示には配合されている化合物が書かれています。それらを見るとおもしろい発見があるかもしれません。
例えば、化粧品の表示に尿素が含まれていることがあります。そう、尿の原料となる尿素が含まれているのです。みなさんは「尿素配合クリーム」などの化粧品を聞いたことがあるかもしれません。
「なぜ、尿素が」と思う方も多いのではないでしょうか。少なくとも私はそう思いました。もちろん、尿素の配合にはきちんとした理由があります。
保湿剤としての尿素
尿素が化粧水に配合されている理由ですが、実は尿素は保湿剤としての役割を果たします。これらの物質は水分を逃がさないようにします。つまり、肌から水分が失われていくのを防ぎ、乾燥から守ってくれるのです。
これが尿素が化粧品に含まれる理由です。ただ、尿素といっても尿の成分の一つというだけで、おしっこそのものというわけではありません。
角質を除く尿素
尿素には角質を取り除く作用もあります。尿素が角質のタンパク質の間に割り込んで、タンパク質を破壊する作用があると言われています。この作用によって皮膚の角質を取り除くのです。
化学的に重要な尿素
尿素は分子の中に炭素を持っており、有機化合物の一つです。ただし、分子内に炭素があれば有機物かというとそうでもありません。二酸化炭素などは無機物に分類されます。
19世紀の初め、「無機物から有機物は合成できない」と信じられてきました。しかし、この常識がドイツの化学者ウォーラーによって覆されました。
ウォーラーはシアン酸アンモニウムの水溶液を加熱して、尿素を合成したのです。これが人類が始めて無機物から合成した有機化合物です。
NH4OCN → H2NCONH2
このように、実は尿素は化学的にも重要な化合物なのです。
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