F検定 (等分散の検定)
F検定(等分散の検定)
まず「等分散とは?」であるが、漢字を見て分けるとおり等しく分散しているということである。つまり、それぞれの群の分布の形が似ているということである。
下にいくつかの例を示す。
独立2群の差の検定の場合、二標本t検定には「正規分布である」「等分散である」の二つの条件が必要である。そのため、たとえ正規分布していても等分散でなければ二標本t検定を使ってはいけない。
この等分散かどうかを調べるためにF検定がある。二標本t検定をする前にF検定をして等分散であることを確認する必要がある。
もし、F検定で「等分散でない」と検定されたなら二標本t検定ではなくてWelch法やMann-Whitney検定で検定しなくてはならない。
・仮説の設定
帰無仮説(H0):「2群間の分散に差がない(等分散である)」と仮定する。
対立仮説(H1):「2群間の分散に差がある(等分散でない)」と仮定する。
・確率を求める
最初にそれぞれの群の分散s12,s22を求める。各群の分散を求めることができたなら、下の式によってF値を出す。ただし、分子に大きい数値の方をとる。
このとき、自由度は分子の自由度df1=n1-1、分母の自由度df2=n2-1のF分布に従う。自由度が求まったらF分布表からFαを求めることができる。
・判定
1≦F≦Fαのとき、P>0.05となる→帰無仮説を棄却できない→等分散である。
F>Fαのとき、P<0.05となる→帰無仮説を棄却する→不等分散である。
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例題
Aクラスには9人、Bクラスには7人の生徒がいる。この生徒たちに物理のテストを実施した。AクラスとBクラスの物理のテストの点は等分散かどうかを検定せよ。
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(注:このデータは便宜的に作ったもので、実際のデータではない)
帰無仮説(H0):2群間の分散に差がない(等分散である)
対立仮説(H1):2群間の分散に差がある(等分散でない)
・計算
まず、このデータのデータ数n、標準偏差、分散をまとめると下のようになる。
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Aクラス |
Bクラス |
データ数 |
9 |
7 |
標準偏差 |
7.48 |
6.58 |
分散 |
56 |
43.3 |
この分散の値からF値を求めるのだが、数値が大きい方を分子にするのでsA2=56の方を分子にする。F値を計算すると次のようになる。
F = 56/43.3 = 1.29
このとき、F0.05は分子の自由度df1=9-1=8、分母の自由度df2=7-1=6のF分布に従う。F分布表より、F0.05=4.15である。
F = 1.29<4.15 = F0.05なので、P>0.05となり帰無仮説を棄却できない。「2群間の分散に差がある」とは言えないため、等分散とすることができる。
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