薬物相互作用(協力作用・拮抗作用のメカニズム)
薬物相互作用とは副作用のようなものであり、薬物相互作用は副作用のもっと狭義の意味です。
なお、両方とも私たちの体にとって悪い影響を及ぼすことには変わりありません。
副作用と薬物相互作用
副作用とは薬を服用したときに表れる、体にとって良くない作用と考えればよいです。そして、一つの薬の作用で表れる副作用もあれば、二つ以上の薬を併用することではじめて副作用が表れる場合もあります。
このとき、「二つ以上の薬を併用することではじめて表れる副作用」を薬物相互作用といいます。
この相互作用はさまざまなメカニズムによって起こります。
ここでは、どのようにして薬物相互作用が表れるかを簡単に解説していきたいと思います。
薬物相互作用の種類
相互作用には大きく分けて「薬の作用が強くなるもの」と「薬の作用が弱くなるもの」の二つがあります。
それでは、それぞれの相互作用について見ていきたいと思います。
・代謝酵素を阻害する場合
薬は酵素によって代謝されます。これによって、薬の効果がなくなっていくのです。もし、酵素がうまく機能しなかったら場合、薬が効きすぎてしまうのです。
ここで、薬を代謝する酵素を他の薬が阻害してしまったらどうなるでしょうか。
上の図では緑(錠剤)を代謝する酵素を青(カプセル剤)が阻害してしまっています。これによって緑(錠剤)がうまく代謝されず、作用が強く出てしまいます。つまり、副作用が出やすくなってしまうのです。
・代謝酵素を誘導する場合
「薬が酵素を阻害することがある」ということを前に述べました。そして、「薬が酵素を阻害することがある」ということは、「酵素の量を増やすように作用する薬もある」ということです。
上の図では緑(錠剤)を代謝する酵素が青(カプセル剤)の作用によって多く作られるようになっています。つまり、緑(錠剤)はいつもより速やかに代謝されるのです。これは、薬の効果を得られにくいという結果につながります。
・他の因子による相互作用
前に述べた二つの例は、どちらも「血液中の薬自体の量が多くなったり少なくなったりして相互作用が出た」という場合でした。
しかし、全ての薬の相互作用がこれにあてはまるとは限りません。つまり、薬物相互作用が起こるのは「血液中での薬自体の濃度が高いくなるor低くなる」というだけではないということです。
例として、利尿薬とジゴキシンがあります。
ジゴキシンの副作用は血液中のカリウム濃度が低くなると出やすくなります。そして、利尿薬にはいろいろな種類がありますが、血液中のカリウムをどんどん消失される種類の利尿薬が存在します。
もし、この利尿薬によって血液中のカリウム濃度が低くなったら、ジゴキシンの副作用が強く出てしまいます。
今回の場合、「ジゴキシンが速やかに代謝された」や「ジゴキシンが代謝されにくくなった」などの変化は起こっていません。ジゴキシン自体の血液中の濃度は正常なのです。なのに、ジゴキシンの副作用が強く出てしまうのです。
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