甲状腺ホルモン・副甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンの原料であるチログロブリンは濾胞上皮細胞で合成される。
甲状腺ホルモンにはチロキシン(T4)とトリヨードチロニン(T3)がある。ホルモンの活性はT3の方が強いが、血中濃度ではT4の方が多い。
なお、甲状腺ホルモンは唯一ヨードを含むホルモンである。また、甲状腺からはカルシトニンというホルモンも分泌するが、カルシトニンは甲状腺ホルモンではない。
甲状腺ホルモンの合成
チログロブリンを合成・分泌する濾胞上皮細胞は血中のヨードを取り込み、チログロブリンのチロシン残基をヨウ素化させる。これは、甲状腺ペルオキシダーゼによって起こる。
甲状腺ホルモンの作用
甲状腺は基礎代謝の亢進、発育の促進、知能の発達を行う。代謝系に対してはタンパク質合成促進や血糖上昇作用がある。
甲状腺ホルモンは下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって制御されている。甲状腺ホルモンの濃度が上昇すると、甲状腺刺激ホルモンに作用して負のフィードバックを起こす。
甲状腺の疾患としては分泌低下によるクレチン病や粘液水腫などがある。これらの疾患は子供の時に発症すると知能・身体的発育障害起こし、成人で発症するとだるさやむくみ、皮膚のかわき、脱毛などを起こす。
※クレチン病→子供で発症、粘液水腫→成人で発症
クレチン病は先天的な合成障害によるものであり、、粘液水腫の多くは橋本病で発症する。橋本病は慢性の甲状腺炎のことであり、自己免疫疾患によって起こる。
甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺ホルモンを補う薬を使用する。このような薬としてレボチロキシン(一般名:チラーヂンS)がある。なお、レボチロキシンと最初に紹介したチロキシン(T4)は同じものである。
また、甲状腺ホルモンの産生亢進によって起こる疾患にバセドウ病(グレーブス病)がある。これも自己免疫疾患であり、抗TSH抗体がTSHに受容体に結合し、甲状腺ホルモンの合成・分泌を促進させるのである。
カルシトニン
カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞から分泌されるホルモンであり、血漿カルシウムの濃度低下に関わっている。
この作用は尿細管でのカルシウム・リン酸の再吸収の抑制、血中へのカルシウム・リン酸の遊離抑制などによって起こる。
副甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモンの代表的なものにパラトルモンがある。このホルモンは血中カルシウム濃度を上昇させる働きがある。
これは、骨から血中へのカルシウム・リン酸の遊離促進、尿細管でのカルシウム・リン酸の再吸収の促進などによって起こる。
血液中のパラトルモンの量が減少すると、テタニーという病気を発症する。症状としては筋のけいれんなどがある。「テタニー = カルシウム濃度の低下」であり、パラトルモン以外にさまざまな原因がある。
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