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役に立つ薬の情報~専門薬学

睡眠障害(不眠症)と睡眠薬

 

 睡眠障害(不眠症)と睡眠薬
睡眠は人間の三大欲求の一つであり、「体を休めるレム睡眠」と「脳を休めるノンレム睡眠」の二種類がある。レム睡眠が浅い眠りであり、ノンレム睡眠が深い眠りである。

 

なお、夢はレム睡眠の時に表れると言われている。以下にレム睡眠とノンレム睡眠の周期を示す。

 

 レム睡眠とノンレム睡眠

 

このように、脳を休めるノンレム睡眠は初期に、体を休めるレム睡眠は後半に表れる。

 

・睡眠障害(不眠症)
睡眠障害(不眠症)にはいくつか種類があり、大きく四つに分けられる。以下にその例を示す。

 

 睡眠障害(不眠症)の分類

 

・睡眠薬
睡眠導入剤としてはベンゾジアゼピン系薬や非ベンゾジアゼピン系薬が使用される。ベンゾジアゼピン系薬は比較的安全性が確保された薬物である。薬物の半減期を考慮したうえで、症状に合わせて使用される。

 

ベンゾジアゼピン系薬は脳内のGABA受容体に存在するベンゾジアゼピン結合部位に作用することでCl-の流入を促し、脳の働きを抑える。これによって、催眠作用を引き起こす

 

 ベンゾジアゼピン系薬、非ベンゾジアゼピン系薬の作用部位

 

ベンゾジアゼピン系薬はベンゾジアゼピン受容体に作用するが、脳内ベンゾジアゼピン受容体はさらにω1受容体(α1受容体)とω2受容体(α2、α3、α5受容体)の二つに分けられる。

 

このうち、ω1受容体は睡眠作用に関与しており、ω2受容体は抗不安作用や筋弛緩作用に関与している。非ベンゾジアゼピン系薬はω1受容体とω2受容体への作用のバランスをとることで、ベンゾジアゼピン系薬よりも副作用が少ないように調節している。

 

 非ベンゾジアゼピン系薬の作用する受容体

 

 

・ベンゾジアゼピン系薬の副作用
ベンゾジアゼピン系薬の副作用としては以下のようなものがある。

 

 ○持ち越し効果
薬物の効果が次の日の朝まで続いてしまい、眠気やふらつきなどの症状が出てしまう

 

 ○記憶障害(健忘)
薬物服用後、「眠るまでの出来事」や「朝起きた時の出来事」の記憶がない症状

 

 ○リバウンド(反跳性不眠)
ベンゾジアゼピン系薬を長い間使用している段階で、急に服用を止めてしまうことで不眠・恐怖・ふるえなどの離脱症状が起こる

 

・ベンゾジアゼピン系薬

 

薬の分類

一般名

商品名

半減期(h)

超短時間型

トリアゾラム

ハルシオン

3

短時間型

ブロチゾラム

レンドルミン

7

ミタゾラム

ドルミカム

1.8~6.4

中間型

フルニトラゼパム

サイレース

ロヒプノール

7

ロルメタゾパム

ロラメット

エバミール

10

リルマザホン

リスミー

10

エスタゾラム

ユーロジン

24

ニトラゼパム

ベンザリン

ネルボン

27

クアゼパム

ドラール

36

長時間型

フルラゼパム

ダルメート

ベノジール

65

 ・非ベンゾジアゼピン系薬

 

薬の分類

一般名

商品名

半減期(h)

超短時間型

ゾルピデム

マイスリー

2

ゾピクロン

アモバン

3~4

 

・メラトニン受容体作動薬
ヒトには体内時計が存在しており、催眠作用や睡眠リズムを調節している。これらのリズムが崩れると不眠症となり、睡眠が困難となってしまう。

 

脳の睡眠リズムをコントロールしているホルモンにメラトニンがあり、メラトニン受容体には催眠作用・睡眠リズムの調節作用があると考えられている。

 

メラトニン受容体を刺激することで、より自然に近い睡眠を誘導することが可能であり、このメラトニン受容体作動薬としてラメルテオン(商品名:ロゼレム、半減期:1時間)がある。ベンゾジアゼピン系薬の副作用として発現していた、反跳性不眠や退薬症候がない薬である。

 

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