セロトニン・ヒスタミン・神経性アミノ酸
セロトニン(5-HT)
セロトニンは重要な神経伝達物質の一つである。主に消化管粘膜のエンテロクロマフィン細胞に存在し、脳や血小板にも存在する。
セロトニンはトリプトファンから合成され、分泌された後は神経終末部から取り込まれ、モノアミンオキシダーゼA(MAOA)によって分解される。
・5-HT1受容体
主に中枢神経に存在する受容体であり、Giと共役してアデニル酸シクラーゼ(AC)を抑制する。情動に関与しているため、抗不安作用や片頭痛に対する薬のターゲットとなる。
・5-HT2受容体
Gqと共役してイノシトールリン脂質の代謝亢進を行う。また、血小板には5-HT2受容体が存在し、この受容体が刺激されると血小板の凝集が起こる。
・5-HT3受容体
5-HT3受容体は嘔吐などを起こす作用がある。そのため、この受容体のアンタゴニスト(拮抗薬)は嘔吐抑制作用がある。
5-HT3受容体遮断薬 |
薬理作用 |
メトクロプラミド |
5-HT3受容体遮断作用によって、抗悪性腫瘍薬(シスプラチンなど)による嘔吐を抑制する。 |
※メトクロプラミドはD2受容体遮断作用ももつ。
・5-HT4受容体
学習・記憶、消化管運動などに関与する。
5-HT4受容体刺激薬> |
薬理作用 |
モサプリド | 5-HT4受容体刺激作用によって、AChの遊離を促進する。これにより、消化管運動促進作用・胃排出促進作用を示す。胃腸薬である。 |
ヒスタミン(Hist)
ヒスタミンは肥満細胞や好塩基球で合成され、へパリンなどと結合して貯蔵されている。なお、ヒスタミンはヒスチジンの脱炭酸によって合成される。
ヒスタミン受容体の主なものにH1受容体、H2受容体があり、H1受容体はⅠ型アレルギーに関与している。なお、Ⅰ型アレルギーは即時型アレルギー反応とも呼ばれている。また、H2受容体は胃・十二指腸潰瘍に関わっている。
H1受容体には次のような作用がある。
・血管拡張作用
・血管透過性亢進作用
H1受容体では血管拡張作用があるので、血圧低下を起こす。急激な血圧低下が起こると、アナフィラキシーショックにつながる。
また、血管透過性亢進作用では浮腫の形成を起こす。これら二つの作用は両方ともアレルギーに見られる作用である。また、H1受容体を介して気管支平滑筋を収縮させるので、喘息を誘発する。
H2受容体は胃液の分泌促進に関わっている。そのため、H2受容体アンタゴニスト(拮抗薬)は消化性潰瘍の治療薬となる。
神経性アミノ酸
アセチルコリンなどの神経伝達物質は、興奮性神経伝達物質という。これは、アセチルコリンによって興奮性のシナプス電位を起こすからである。
これと同じような作用がグルタミン酸やアスパラギン酸でも起こる。これらのアミノ酸を興奮性アミノ酸という。
また、抑制性アミノ酸もあり、抑制性アミノ酸が放出されるとCl-(塩素イオン)チャネルが開き、Cl-が体内に流入するようになる。このとき、Cl-はマイナスの電荷をもつため、シナプスの電位を下げるのである。
このような作用をするアミノ酸が抑制性アミノ酸であり、抑制性アミノ酸にはGABA(γ-アミノ酸)やグリシンがある。
・グルタミン酸:興奮性アミノ酸
・GABA(γ-アミノ酸):抑制性アミノ酸
・グリシン:抑制性アミノ酸
・グルタミン酸
興奮性アミノ酸であり、記憶や学習などのシナプス可塑性や神経細胞死などに関与している。シナプス可塑性とは、より強い力によってその情報を変化させることができることである。
グルタミン酸受容体にはイオンチャネル型と代謝型があり、イオンチャネル型はさらにNMDA型とnon-NMDA型に分けることができる。
NMDA型では通常Mg2 によってブロックされており、グルタミン酸が来ただけでは反応しない。しかし、脱分極を起こして静止膜電位が約-70mVを超えるとMg2 のブロックがなくなり、活性化する。
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