セカンドメッセンジャー
水溶性リガンドと脂溶性リガンド
細胞は外から刺激が来ると、必ず応答する。これはシグナル伝達があるということである。シグナルが伝わるとき、細胞に存在する受容体にシグナルが作用することでさまざまな症状を引き起こす。
情報伝達物質には水溶性リガンドと脂溶性リガンドがあり、受容体にもそれぞれ水溶性,脂溶性に対する受容体がある。細胞膜は脂質によって構成されているため、脂溶性情報伝達物質は細胞膜を通り抜けることができる。しかし、水溶性情報伝達物質では細胞膜を通過することができない。
脂溶性の情報伝達物質の受容体は、細胞膜を通過することができるため核内に存在する。つまり、脂溶性リガンドに対する受容体は核内に存在するのである。(核内受容体)
それに対し、水溶性リガンドに対する受容体は細胞膜に存在する。なぜなら、水溶性の情報伝達物質は細胞膜を通過することができないからである。
※リガンド=基質
カスケード
細胞にはさまざまな受容体が存在しており、一つの受容体からさまざまな反応がカスケード(滝)のように起こっている。
このとき、異なる受容体による作用でも第二回や三回目のリン酸化では、結果として同じ物質をリン酸化することがある。つまり、異なる受容体で同じ作用を示す場合がある。
このように、カスケードによって受容体同士は反応の一部を共有することで、お互いに影響し合っている。これをクロストークという。
セカンドメッセンジャー
水溶性の情報伝達物質が関与するとき、細胞膜上に存在する受容体に作用する。このとき、細胞内に情報を伝えるシグナル伝達物質として低分子化合物やイオンが用いられる。水溶性リガンドの作用によって最初に合成され、細胞内にシグナルを伝える物質をセカンドメッセンジャーという。
なお、細胞外から情報を運んでくる情報伝達物質をファーストメッセンジャーという。このファーストメッセンジャーが水溶性の場合、この物質の働きによって産生される第二のメッセンジャーなので、セカンドメッセンジャーである。
セカンドメッセンジャーには次のようなものがある。
・cAMP
・cGMP
・ジアシルグリセロール(DG)
・IP3
・Ca2+
・一酸化窒素(NO)
cAMP
cAMPはアデニル酸シクラーゼ(AC)によって、ATPから合成される。不活性化はcAMPホスホジエステラーゼによって行われ、5'-AMPへと分解される。
cAMPの標的物質はプロテインキナーゼA(Aキナーゼ)であり、cAMPの濃度が上昇するとプロテインキナーゼAに作用して活性化させる。
ジアシルグリセロール(DG)
細胞膜を構成するリン脂質にイノシトールリン脂質というものがあり、次のようなものがある。
・ホスファチジルイノシトール(PI)
・ホスファチジルイノシトール-4-リン酸(PIP)
・ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸(PIP2)
これらイノシトールリン脂質が加水分解されるとDGが産生される。
PI → DG イノシトール-1-リン酸(IP)
PIP → DG イノシトール-1,4-ビスリン酸(IP2)
PIP2 → DG イノシトール-1,4,5-トリスリン酸(IP3)
・DG、IP3、Ca2+の関係
細胞膜上でPIはPIPを経てPIP2となる。このとき、アゴニストが細胞膜受容体に結合すると、ホスホリパーゼCによってPIP2が分解されてDG、IP3が産生される。なお、ホスホリパーゼCの作用がこの反応の律速段階となっている。
このとき産生されるDGはプロテインキナーゼC(Cキナーゼ)を活性化する。ただし、プロテインキナーゼCの活性化にはCa2+やリン脂質なども必要である。
また、IP3は小胞体に存在するIP3感受性Ca2+チャネルに作用し、Ca2+の遊離を促進する。このように、DGはプロテインキナーゼC系に作用し、IP3はCa2+系に作用する。
なお、DGはATPによりホスファチジン酸となり、小胞体へ輸送される。その後、ホスファチジン酸は代謝されPIへと変換される。つまり、この経路はPIから反応が始まり、最終的にPIを再生するのである。この代謝経路全体をPIレスポンス(PI応答)という。
カルシウム
Ca2+は非筋肉細胞ではカルモジュリン(CaM)に結合することで、カルモジュリンの構造を変化させる。これによって、カルモジュリンを活性化させる。
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