インスリン療法による糖尿病治療
血糖値下げる唯一のホルモンとしてインスリンがあり、糖尿病を治療する上で重要となる。糖尿病は血糖値が高くなってしまう病気あるため、インスリンを外から補うことによって糖尿病を治療することができる。特に1型糖尿病の場合、インスリンが必ず必要になる。
また、2型糖尿病の治療を行う場合、最初は食事療法と運動療法から始める。ただし、それでも血糖コントロールが不十分な場合は経口血糖降下薬(血糖値を下げるために服用する薬)を使用する。
これら経口血糖降下薬でも効果不十分な場合、ようやくインスリン療法が併用される。
インスリン療法の絶対適応と相対適応
糖尿病の治療を行う上で、インスリン療法を避けることができない場合がある。このような時、インスリン療法の絶対適応と呼ぶ。
インスリン療法が絶対適応となる例としては、以下のような場合がある。
・1型糖尿病
・妊娠糖尿病(食事療法で血糖コントロールが不十分な場合)
・糖尿病性昏睡 など
1型糖尿病患者ではすい臓のβ細胞が破壊されてインスリンが出ない状態となっているため、インスリン療法が絶対適応となる。
また、妊娠時に高血糖状態に陥ってしまう妊娠糖尿病では、経口薬を使用することで胎児が低血糖に陥ってしまうことがある。そのため、インスリンを使用しなければならない。糖尿病性昏睡の患者さんの場合もインスリン療法が絶対適応となる。
これに対し、2型糖尿病のようにインスリン療法が必ずしも必要ではない糖尿病であっても、より良い血糖コントロールを行うためにインスリン療法を行う場合がある。この場合がインスリン療法の相対適応となる。
血糖値が異常に高い場合や経口血糖降下薬が効かない場合など、血糖コントロールが不十分な状態であればインスリンを使用することがある。インスリン療法の相対適応は主に2型糖尿病で実施される。
※妊娠糖尿病
妊娠をきっかけとして、血糖値が高くなる糖尿病の症状を発症することがある。これが妊娠糖尿病である。妊娠糖尿病では早産や羊水過多、巨大児、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。そのため、妊娠糖尿病は胎児にも悪影響が出てしまう。
この原因として、「妊娠中はエストロゲン(女性ホルモン)などインスリン抵抗性を悪化させる物質が放出される」ことが考えられる。つまり、インスリンが効きにくくなってしまうことで糖尿病を発症してしまうのである。
飲み薬は「胎児に奇形をもたらす催奇形性の懸念」や「胎児が低血糖に陥るリスク」などがあるため、妊娠糖尿病の治療にはインスリン療法が絶対適応となる。
なお、妊娠に伴って発症する糖尿病は一般的に出産後に改善する。もともと糖尿病の人が妊娠した場合は糖尿病合併妊娠と呼ばれ、妊娠糖尿病とは区別される。
インスリン製剤の分類
インスリン濃度は常に一定ではなく、血糖値の変動によってインスリン分泌の量も変わってしまう。そのため、インスリン製剤を理解するためにはインスリン分泌の様子を学習する必要がある。
インスリン分泌には次の二種類がある。
・追加分泌
・基礎分泌
食事などによって血糖値が上昇すると、一時的にインスリンが分泌される。これによって、インスリン濃度が上昇する。これが追加分泌である。追加分泌によって血液中のインスリン濃度が上昇した後、時間経過に伴ってインスリンの濃度も減少していく。
これに対して、一日中一定の割合でインスリンが分泌される機構が存在する。追加分泌のように食後に大量に分泌されるのではなく、少量ずつインスリンが分泌されているのである。このインスリン分泌を基礎分泌と呼ぶ。
インスリン分泌には「追加分泌」と「基礎分泌」の二つがあるため、インスリン製剤は主に次の三つに分けることができる。その特徴ごとに薬を使い分ける必要がある。
・追加分泌を補うインスリン製剤
・基礎分泌を補うインスリン製剤
・追加分泌と基礎分泌を補うインスリン製剤
上図のように、インスリン製剤は「効果が表れる時間」や「効き目が持続する時間」によってさまざまな種類に分けることができる。どの型のインスリン分泌を補うかによって、使用するインスリン製剤の種類も異なる。
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