目に作用する薬物(緑内障、白内障)
瞳孔における散大と縮瞳
眼疾患の主な病気としては、緑内障と白内障の二つがある。まずは緑内障について見ていきたいと思う。
・瞳孔括約筋と瞳孔散大筋
瞳孔には括約筋と散大筋が存在する。「瞳孔括約筋 = 平滑筋」と考えれば良い。つまり、ACh(アセチルコリン) の作用で括約筋は収縮する。
上の図で輪っかみたいなのが括約筋に当たる。この括約筋がコリン作動薬によって収縮するのである。輪っかが収縮するということは、輪っかの円はどんどん小さくなっていく。これによって縮瞳が起こるのである。
ところで、抗コリン薬はコリン作動薬と反対の作用をするので、瞳孔括約筋は弛緩する。これによって散大が起こる。
緑内障治療薬
緑内障は眼圧が上昇しているために起こる。そのため、緑内障治療薬は眼圧を下げるように作用する。具体的には眼房水の排出を促したり、眼房水産生を抑制したりする。ただし、眼圧が正常であっても緑内障を罹患することもあるので注意が必要である。
それでは、以下に具体的な緑内障治療薬を示す。
緑内障治療のポイント
○ 眼房水の排泄促進
○ 眼房水の産生抑制
眼房水排泄促進薬
緑内障治療におけるキーワードは眼房水であり、この眼房水が多すぎると眼圧が上昇する。そして、緑内障治療薬では眼圧を下げるように働く。つまり、眼房水の量を減らすように作用する。
緑内障患者では目の中に眼房水がたくさんあるから、眼圧が上昇しているのである。それならば、眼房水をどんどん排出すれば良い。ただし、抗緑内障薬における眼房水の排泄経路には大きく分けて二つがある。一つはシュレム管、もう一つがぶどう膜強膜である。
・シュレム管経由
シュレム管経由による眼房水排泄促進薬にはコリン作動薬がある。つまり、ピロカルピン(商品名:サラジェン)のように直接ムスカリン受容体に作用するものや、ジスチグミン(商品名:ウブレチド)のようなコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI) などがある。
・ぶどう膜強膜経由
ぶどう膜強膜を経由する薬物としてイソプロピルウノプロストン(商品名:レスキュラ)やラタノプロスト(商品名:キサラタン)などのプロスタグランジンF2α製剤がある。「~プロスト」と付けばプロスタグランジン製剤なので、分かりやすいと思う。
また、α1受容体遮断薬であるブナゾシン(商品名:デタントール)もぶどう膜強膜経由による抗緑内障作用を示す。
眼房水産生抑制薬
眼房水を排出するのも良いが、そもそも作られなければそれ以上眼房水が増えることもない。このような薬には脱炭酸酵素阻害薬や血管収縮薬がある。
・脱炭酸酵素阻害薬
脱炭酸酵素阻害薬にはアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)があり、この薬は緑内障以外にも利尿薬やてんかんの薬としても使用される。
・血管収縮薬
血管収縮薬としてはチモロール(商品名:チモプトール)、カルテオロール(商品名:ミケラン)などのβ受容体遮断薬がある。「~オロール」とくればβ遮断薬である。
なお、緑内障治療薬にα受容体遮断薬やβ受容体遮断薬が用いられることから分かる通り、その反対の作用を示す抗コリン薬は緑内障に禁忌である。
白内障治療薬
緑内障では眼圧が上昇することによって視力が低下するが、白内障では水晶体が混濁することによって視力が低下する。白内障治療薬としてはピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)やグルタチオン(商品名:タチオン)がある。
ピレノキシンは水晶体のタンパク質変性を防ぐ作用がある。
また、水晶体SH基はS-S結合を形成することで水晶体が混濁する。グルタチオンはこのSH基を保護することで白内障の進行を遅らせる。
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