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役に立つ薬の情報~専門薬学

循環器系

 

私たちが生きていくには栄養や酸素が必要であり、二酸化炭素や老廃物は体の外に出さなければいけない。また体内の熱を外へ放出したり、その逆にこれらの熱を体中に送り届けたりすることも重要となる。これらの役割を果たしているのが血管を流れている血液であり、リンパ管を流れているリンパである。

 

これらの流れによって物質や熱が体中に満たされている。この流れを循環とよぶ。

 

 循環
血液の循環には体循環肺循環が存在する。

 

・体循環
体循環とは心臓から出た血液が体中を巡って、最終的にまた心臓に戻ってくる経路のことをいう。血液は大動脈 → 動脈 → 毛細血管 → 静脈を通って戻ってくる。つまり、これらの経路が体循環である。

 

体循環は体全体に酸素や栄養を細胞に届け、不要になった老廃物を腎臓や肝臓まで届ける役割をしている。

 

・肺循環
肺循環とは心臓からでた血液が肺を通って、再び心臓に戻ってくる経路のことである。肺循環によって血液はCO2を放出し、O2を受け取って戻ってくる。

 

・胎児の血液循環
胎児が母親の胎内にいるときは、まだ呼吸をしていないので肺は機能していない。胎児に必要な栄養や酸素は胎盤を通して入ってくるのである。そのため、胎児の血液循環は成人とは異なっている。

 

胎児の心臓には卵円孔という穴があり、この穴を通って血液が流れている。また成人の場合は右心室から血液が排出されると肺に向かうが、胎児の場合は動脈管を通って大動脈に入る。

 

 成人と胎児の血液循環

 

卵円孔や動脈管は出生すると全て閉鎖してしまう。しかし、卵円孔や動脈管などの閉鎖が不十分であると、肺へ行く血液の量が減るため様々な障害を引き起こす。これが先天性心疾患である。

 

 心臓の構造
心臓はそれぞれ右心室、右心房、左心室、左心房の四つの部屋に分かれている。左心室から全身に血液が送り出され、右心房に全身に送り出された血液が戻ってくる。また、右心室から肺へ血液が送り出され、その血液は左心房に戻ってくる。

 

心室と心房との間には、血液が逆流しないために弁がついてある。右心房と右心室の間の弁は3枚の弁から構成されており三尖弁とよばれ、左心房と左心室の間の弁は2枚の弁から構成され僧帽弁という。

 

もし心臓の弁に異常があると、「弁が十分に閉じないため血液が逆流する」や「弁が十分に開かないため血液の流れが悪い」などの症状がでる。これが心臓弁膜症である。

 

 

 心臓の鼓動
心臓は一定のリズムで鼓動している。これは心臓は一定のリズムで刺激を受けているからである。心臓を鼓動させるために一定の割合で興奮を出す部分を洞結節といい、心臓のペースメーカの役割を果たしている。

 

洞結節からの興奮は周りの筋に伝わり心房収縮を起こすが、結節間路という道を通って房室結節とよばれる部分にも速やかに伝えられる。

 

房室結節の下の方にヒス束という部分があり、そこからさらに下へ行くと左右に分かれたという部分がある。脚の先は網状に分布しており、この部分をプルキンエ繊維という。

 

 心臓の興奮

 

洞結節から発生した興奮は 洞結節 → 房室結節 → ヒス束 → 脚 → プルキンエ繊維と伝えられる。これによって心臓が鼓動する。

 

洞結節に障害が起きていると心拍数が低下していき、心拍停止の状態に陥ってしまう。これを回避するために一定の割合で心臓を刺激する装置を利用する。それが人工ペースメーカーである。

 

また洞結節が正常であっても房室結節まで興奮が伝わらなければ、心房の収縮は起こっても心室の収縮が起こらなくなるかゆっくり収縮するようになる。これが房室ブロックである。

 

正常に心臓が鼓動しているときに、洞結節以外のところから無関係に興奮が発生することがある。これを期外収縮といい、期外収縮が起こると一回だけ拍動が収まり、それから正常な鼓動に戻る。

 

 冠状血管
心臓は体全体に血液を送ることで栄養や酸素を届けている。しかし、心臓自体は心臓の中に存在する血液から酸素や栄養を受け取ることはできない。そこで、心臓の外側には心臓自体を養うための特殊な血管が存在する。

 

これが冠状血管であり、この血管が心臓に酸素や栄養を届けている。

 

動脈硬化などで冠状血管が細くなり、心筋への酸素が不足すると激しい胸痛や心筋虚血が起こる。これが狭心症である。またプラークが破裂することで血栓が形成されると、一部の冠状血管の血液の流れが完全に止まってしまう。これを心筋梗塞という。

 

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