細胞の構造と特徴
細胞には核を持たないものと、核を持つものに分けることができる。前者を原核細胞、後者を真核細胞とよぶ。ヒトを含める多細胞生物の細胞は全て、真核細胞である。
細胞の構造は「生物化学Ⅰ」の「細胞の構造」で紹介しているので省略する
細胞での代謝
・解糖系
解糖系は細胞質基質に存在し、エネルギーを生み出す経路である。
まず血液中のグルコースを取り込んでリン酸化して、グルコースリン酸とする。その後、さまざまな過程を得てピルビン酸を得る。酸素がない状態なら最終的に「ピルビン酸→乳酸」となって、エネルギーを得ることができる。
・呼吸
酸素がある状態なら、解糖系で得たピルビン酸は乳酸にならずに、ミトコンドリア内のクエン酸回路に入り、水素(H)と二酸化炭素(CO2)に変化する。
クエン酸回路で生成する水素は電子伝達系に入り、多くのエネルギーを生み出すことができる。このとき、酸素(O2)と反応して水(H2O)を生じる。
・同化、異化
細胞は常に新しいものを合成したり、物質を分解したりしている。
細胞が細胞内で複雑な物質を合成する過程を同化といい、細胞内で物質を分解する過程を異化とよぶ。
物質移動
・拡散
濃度の高い方から、濃度の低い方へと物質が移動して均等に分布する現象。
・ろ過
濁った水をろ紙でこすと、ろ紙の穴よりも大きい粒子は通ることができず、小さい粒子は通り抜けることができる。これがろ過である。
体内ではこのろ過作用が腎臓で確認でき、腎臓は血液をこすことで有害物質を体外に排出する。
・浸透
濃度の異なる溶液を半透膜で仕切ると、溶媒が濃度の高い溶液の方へ移る。この現象が浸透である。半透膜とは水や電解質などの比較的小さい分子は通すが、タンパク質などの大きい分子は通さないという膜である。
細胞膜はこの半透性の性質をもっている。
組織
・上皮組織
体の表面などを覆っている組織であり、細胞間は隙間なく密着している。皮膚の表面や口の粘膜などの機械的刺激が比較的強く作用する部分は、細胞が何層にも重なり合っているため丈夫にできている。
・筋組織
筋組織には平滑筋組織、骨格筋組織、心筋組織の三つに分けることができる。
平滑筋は自律神経の支配を受け、自分の意思で動かすことはできない。内臓や血管壁に存在し、細胞は紡錘形をしている。
骨格筋は脳や脊髄の支配を受けており、自分の意思で動かすことができる。骨格筋の細胞は細長い円柱状の形をしており、横紋を示す。
心筋は心臓の筋肉をつかさどっている。心筋は横紋を示すが、互いの端と端が結合している。
平滑筋に対し、心筋と骨格筋を合わせて横紋筋とよぶ。
・結合組織
結合組織は比較的小さな組織であり、ほかの細胞の間を埋めたり構造的に保ったりしている。細胞質の間には膠原(コラーゲン)線維や弾性に富む弾性繊維が存在する。
・神経組織
神経細胞は興奮を伝える働きをする。神経細胞の核を持つ部分を細胞体とよび、細胞体の周りからは樹状突起とよばれる枝分かれした突起がでている。
そこから一本の突起がでている。これが軸策である。軸策は周りの細胞と一緒に神経線維を形成している。
また神経組織には軸策の周りに髄鞘(ミエリン)という絶縁体をもつ有髄繊維と、髄鞘をもたない無髄繊維が存在する。この髄鞘は末梢神経ではシュワン細胞によって作られる。髄鞘が途切れている部分をランビエ紋輪とよぶ。
これらの神経組織を総称してニューロンとよび、ニューロンには必ず一つの軸策をもつ。
伝導と伝達
神経に興奮が伝わるときに神経に沿って興奮が伝わることを伝導とよび、シナプスを介して興奮が乗り移りすることを伝達とよぶ。
ニューロン同士で興奮が移る部分をシナプスとよぶ。興奮の伝達は神経伝達物質によって伝達される。興奮を与える側であるシナプス前側には、神経伝達物質を含んだシナプス小胞が多数存在します。
シナプス小胞から放出された神経伝達物質は、興奮を受け取る側であるシナプス後側の細胞を興奮させたり抑制させたりします。
この神経伝達物質にはアセチルコリンやノルアドレナリンなどが知られています。
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