呼吸器系
生物は常に酸素を取り込み、二酸化炭素を外に放出している。体の中では酸素と二酸化炭素の交換が行われており、これを呼吸という。
呼吸には細胞呼吸と肺呼吸の二つがあり、区別されている。
・肺呼吸
わざわざ説明しなくても理解してもらえると思うが、肺による呼吸のことである。空気を吸うことによって酸素を取り込み、息を吐くことによって二酸化炭素を外に放出する。(皮膚呼吸も含む)
ただし、ヒト以外の動物では肺による呼吸以外にも皮膚呼吸によってガスを交換する場合がある。この場合も肺呼吸という。なお、ヒトでは皮膚呼吸はほとんど行われていない。
肺呼吸を止めてしまうと、全てのガス交換がストップしてしまう。すると当然ながら酸素は供給されず、二酸化炭素も排出されない。そのため、次に説明する細胞呼吸も必然的にストップしてしまう。
・細胞呼吸
肺から取り込んだ酸素は血液に乗って各細胞に送り届けられる。つまり、細胞は酸素を取り込み不要になった二酸化炭素を血液中に放出するのである。これが細胞呼吸である。
気道
気道は名前の通り「空気の道」である。口(鼻)から吸った息は咽頭、喉頭、気管、気管支を通って肺に送られる。口から肺までの空気の通り道を気道という。
気管支の周りには平滑筋がある。この平滑筋がけいれんを起こすと気管支の幅が狭くなる。気管支が狭くなるということは呼吸が苦しくなるということにつながる。この状態が気管支喘息である。
気管支喘息の治療薬としてはエフェドリンなどが使用される。エフェドリンは気管支の平滑筋を弛緩させる(緩める)働きがある。
肺の構造
肺は胸の中に左右一つずつ存在する。右の肺は上葉、中葉、下葉の三つに分かれており、左の肺は上葉、下葉の二つに分かれている。
気管支の先端には多数の膨らみがあり、これを肺胞という。この肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われている。
ただし、肺胞には筋肉がないためそれ自身が伸び縮みすることができない。そのため、横隔膜や胸腔内の筋肉を使って呼吸をする。
呼吸をするときには腹式呼吸と胸式呼吸の二種類がある。それぞれ安静時に横隔膜によって呼吸をする方法を腹式呼吸といい、胸腔内の筋肉を使って呼吸する方法を胸式呼吸という。なお、横隔膜は筋肉である。
横隔膜が下方に縮んだり、胸腔内の筋肉によって胸腔を広げたりすると胸腔の容積が増える。すると外の空気が肺の中に入ってくる。逆に横隔膜が上方の元の位置に戻ったり、胸腔内の筋肉の力によって胸腔を縮めると胸腔の容積が減り、空気が外に放出される。
多くの場合男性に腹式呼吸が多く、女性に胸式呼吸が多いといわれている。なぜこのように「性別によって呼吸法が違ってくるのか」であるが、理由の一つに「女性は子供に負担をかけないため」というのがある。
腹式呼吸で横隔膜が上下に動くと、それだけ子宮にいる子供に負担がかかってしまう。これを防ぐために女性は胸式呼吸が多いのである。
酸素・二酸化炭素の運搬
酸素や二酸化炭素の運搬は血液がする。酸素や二酸化炭素は血液中に溶けているが、酸素は特に血液中のヘモグロビンと結合することによって全身に運ばれる。
それに対し、二酸化炭素は血液中のヘモグロビンによって炭酸水素イオン(HCO3-)となって血漿中に溶ける。炭酸水素イオンが肺に来ると再びヘモグロビンによって二酸化炭素に変換されて外に放出される。
また、一酸化炭素(CO)は酸素(O2)の約300倍ヘモグロビンと結合しやすい性質をもっている。そのため、いくら酸素があったとしても少量の一酸化炭素があると各細胞への酸素配給がストップしてしまう。つまり、細胞呼吸ができなくなる。これが一酸化炭素中毒である。
ヘーリング・ブロイエル反射
呼吸をしているとき息を吸い続けていると、息を吐きたくなる。逆に息を吐き続けていると息を吸いたくなる。これは呼吸反射によるものであり、ヘーリング・ブロイエル反射という。
これは、肺の広がりを感知する神経が存在するためである。肺が広がって息を吸うと吸息中枢は抑制的に働き、徐々に吐息中枢が促進されるように傾いていく。肺が縮まって息をはくとこの反射は吸息時の逆に働く。
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