β-作動薬、PDEⅢ阻害薬、β-遮断薬
β-作動薬
心臓にはβ1受容体が存在する。β-作動薬はβ1受容体を刺激する作用があり、これによって心筋の収縮力増大、心拍数の増大を起こす。
また平滑筋にはβ2受容体があり、この受容体によって平滑筋が弛緩する。そのため、β-作動薬は気管支平滑筋を拡張する作用を利用して、気管支喘息治療薬としても使用される。
心筋細胞において、β-作動薬は直接β1受容体してアデニル酸シクラーゼを活性化させる。これによってcAMP濃度を増やし、心筋収縮力を増大させる。基本的にcAMPを上昇させるように働く薬物は強心作用を示すようになる。
β受容体を刺激する薬物としてドブタミンがある。
PDEⅢ(ホスホジエステラーゼⅢ)阻害薬
心筋収縮力増大にはPDEⅢ阻害薬によっても起こる。
アデニル酸シクラーゼ(AC)によってATPからcAMPが産生し、これによって収縮力が増大する。そして、このcAMPを分解する酵素としてPDEⅢ(ホスホジエステラーゼ)がある。cAMPはPDEⅢによって5'AMPへと代謝される。
PDEⅢ阻害薬はPDEⅢを阻害することでcAMPの分解を防ぎ、結果としてcAMP濃度を上昇させる。これによって心筋収縮力を増大させる。
PDEⅢ阻害薬としてはアミノフィリン(商品名:ネオフィリン)、ミルリノン(商品名:ミルリーラ)がある。
β-遮断薬
β-遮断薬は心臓に対してβ1受容体を遮断することにより、心拍数低下や筋収縮力低下を起こす。これによって心筋細胞の酸素消費量が減り、心臓の負担が軽くなる。つまり、心臓にエネルギーを使わないようにするのがβ-遮断薬である。
なお気管支喘息患者の場合、β2受容体まで遮断してしまうと喘息を悪化させてしまう。そのため、気管支喘息患者にはβ1選択性遮断薬を使用しないといけない。
上の図のようにβ1受容体を遮断することで、それ以下の反応が進まなくなる。この作用を利用して心臓の負担を軽くする。
なお、β遮断薬は糖代謝に悪影響を及ぼすため、糖尿病患者に投与してはいけない。
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