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コピー薬と知的財産の崩壊

 

発展途上国で問題となる病気にはエイズやマラリアがあります。そして、これらの病気によってアフリカの人々は多くの命を落としています。

 

先進国の人たちにとって、エイズは死の病気ではなくなりました。しかし、アフリカなどの発展途上国では依然として死の病気であり、高価な薬を得ることができないのです。

 

そう、これらの人々はただ死を待つのみなのです。

 

そこで、WTO(世界貿易機関)は2005年12月11日に「感染症に対して、許可なく発展途上国はコピー薬を製造・輸入できる」という事を恒久的に認めました。つまり、製薬会社は一部の知的財産を放棄した形となったのです。

 

 知的財産の崩壊
一見すればすばらしい考えのように思います。少なくともマスコミ関係者は「製薬会社は素晴らしい意思表示をした」とすることでしょう。しかし、真相はどうでしょうか。

 

WTOの決定により、製薬企業はマラリアやエイズなどの医薬品開発に消極的になってしまいました。製薬会社はボランティアで事業を行っているわけではありません。どうせ開発しても、コピー薬として安く出回るだけですから……。

 

さらに悪いことに、抗菌薬には耐性菌の問題があります。抗菌薬を使い続けると、抗菌薬が効かない耐性菌が出現してしまいます。いつか薬剤耐性菌が世界中を被いつくす日が来てもおかしくありません。

 

これにより、いつの日か「薬を買えないどころか、治療する薬さえない」という状況に陥ってしまいます。

 

一つの薬が開発されるまでどれだけ早くても10年かかると言われています。つまり、このWTOの決断から10年後に発売されるエイズやマラリアの薬はほぼ0と言っても過言ではありません。

 

これらのエイズやマラリアの薬の開発は税金によって運営されている公的機関に任せるのみとなってしまったのです。

 

そう、これからのアフリカ諸国の病気事情は闇しかありません。コピー薬という一瞬の光を浴び、あとに残るのは耐性菌という闇だけなのです。

 

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