障害をもつ子供たち
世の中には様々な人がいます。あなたの周りにも、個性的な人は多いのではないでしょうか。そして、その様々な人の中には、「知能の発達が比較的遅い」という人も存在します。
これから話すことは、障害児学級を受け持っている小学校の先生の話をもとにした実話です。
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友達学級
その先生が勤務する小学校には障害児学級「友達学級」があります。そして、A君は「友達学級」の生徒です。
A君は普通の算数の計算なら、簡単に計算することができます。
100+100=200
100-30=70
これくらいの計算なら朝飯前です。しかし、単に計算が出来るだけでは意味がありません。これが実生活で役に立たないと、彼らにとっては意味がないのです。そして、A君にお金の出し方を勉強させている時に次のようなことがありました。
先生がA君に「100円を出して」と言えば、すぐに100円玉を出してくれます。しかし、「200円を出して」と言っても出すことができません。
なぜか……。
なぜなら、そこに200円玉が存在しないからです。ぱっと見ても「200」という数字が見当たらないのです。
そこで、先生が「100円玉を二枚出すことで200円となる」ということを教えることで、やっと理解することができるのです。
また、校外学習で次のような事がありました。
その日、A君は電車の切符を買うために券売機の前に並びました。切符を買うために70円を支払わなければならないのですが、困ったことに世の中には70円玉が存在しません。
そこで、先生が「100円玉を入れて、30円のおつりが出る」と教えます。そして、実際に100円玉を入れて30円が出るのを見て、その子は感動したのです。
それまで学校では、教室の中で切符を買うためのシミュレーションをしてきました。しかし、実際に体験してはじめて分かることが多いのです。
やり遂げたいという気持ち
もちろん「障害児学級」の生徒はA君だけではありません。その他の生徒もいます。その中でも、B君は失敗を嫌う生徒です。
そんなB君が何を考えるかというと、「絶対に失敗してはいけない」と考えるのです。つまり、失敗するようなことは最初からしないのです。
例えば、長縄飛びをするとします。このとき、失敗を恐れて全く参加しようとはしません。それどころか、みんなを邪魔して練習になりませんでした。
そのため、先生も「参加自体をやめさせよう」と考えていました。しかし、不思議なことにある日を境に突然として出来るようになるのです。
結局のところ、彼らは見ていないようで見ているのです。ずっと観察しているのです。出来ないことがくやしくて、泣いているくらいです。
参加しようとしないのは、「本当はしたくても出来ない自分の表れ」です。そのため、「できる!!」と思えば、出来るようになるのです。たしかに成長は遅いが、やりたいという気持ちがあるのです。
また、彼らにも得意なものは存在します。A君はクラスの友達の名前を覚えられないかも知れませんが、虫が大好きでほとんどの虫に関してその名前や育て方を熟知しています。このように、普通の人に負けないくらいの知識や技能を持っていることもあるのです。
親のエゴ
そして、彼らの共通点は「友達とのコミュニケーションが苦手」という点です。友達同士で会話することも少ないため、普通学級では彼らの居場所がありません。
しかし、「障害児学級」では少人数制ということもあり、喧嘩や授業中での立ち歩きがなくなり、周りの人と話すことも容易になります。
ただし、彼らにとって本当の意味で一番の問題となるのは親なのです。
○「障害児学級」に入ることで、ずっと「障害児」と周りから思われるのではないか
○「障害児学級」に入ったら、普通学級には戻れなくなるのではないか
多くの親が上記のようなことを思うようです。しかし、よく考えて見れば、これは親の単なるエゴです。
重要なのは、「本人がどう思うか」ということです。別に「障害児学級」の子供は、世間体がどうのこうのなどとは考えていないはずです。
子供の未来を考えるとき「周りからどう思われるか」ではなくて、「将来のために必要なものはなにか」ということを最優先に考えるべきではないでしょうか。
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