薬剤師国家試験合格率について:私立大学のカラクリ
薬剤師になるためには、必ず国家試験に通らなければいけません。この試験は当然ながら簡単ではありません。知識のない人が薬剤師になってしまえば、人を殺してしまうからです。
合格率について
この薬剤師国家試験ですが、国立大学と私立大学とでは合格率に大きな差が出ています。
私立大学の方が合格率が高い傾向があり、国立大学の合格率は低いです。この理由ですが、一般的に次のように言われています。
「国立大学は研究に力を入れており国家試験は重視していない。それに対し、私立大学は国家試験合格を重視している。」
このことはある意味正しいです。しかし、全てが真実ではありません。私立大学の合格率が高いのにはカラクリがあるのです。
働きアリの法則
みなさんは「働きアリの法則」をご存知でしょうか。100匹のアリのうちで働くアリは80匹(8割)で、残りの20匹(2割)は怠けているという話です。
おもしろいのは、そのあとの実験です。
この怠けている20匹のアリだけを残すと、怠けていたはずのアリのうち8割が働き出すのです。逆に今まで働いていた80匹のアリだけを残すと、そのうちの2割が怠け出すというものです。
そして、これと同じような現象が人間にも起こります。
合格率の上位は私立大学が占めており、その率は90%前後です。つまり、このような大学ではほとんどの人が勉学にいそしんでいるということになります。
しかし失礼かもしれませんが、このようなことは考えにくいです。「働きアリの法則」のような自然の法則に背くようなことが、こんなに頻繁に起こってもらっては困るのです。
カラクリの正体
「なぜ私立大学の合格率が高いか」ですが、理由はとても簡単です。不真面目な生徒に試験を受けさせなければ良いのです。
勉強していない生徒が試験を受けて、不合格になるから合格率が下がるのです。それならばその生徒に対して、試験自体を受けさせなければ合格率が下がることはありません。
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80人の真面目な生徒と20人の不真面目な生徒がいるとします。このまま全員試験を受けさせてしまえば、不真面目な20人は確実に落ちてしまい。合格率は80%以下になってしまいます。
仮に真面目な生徒80人のうち、合格する人数が72人だったとします。このときの合格率は次のようになります。
(72/100) × 100 = 72%
そこで、最初から不真面目な20人に試験を受けさせないようにします。すると、合格率は必然的に増加します。
(72/80) × 100 = 90%
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このように私立大学では卒業試験などを実施し、「卒業試験に合格しなければ国家試験を受けることができない」などの措置を取っている場合があります。
つまり、「私立大学の薬剤師国家試験の合格率はほとんどあてにならない」ということができます。このことは薬学部だけでなく、医学部・歯学部の国家試験でも同様のことが言えます。
薬剤師を目指している高校生で、大学を決めるときに「合格率」だけで判断するのはとても危険です。もっとよく考えて大学を選ぶべきです。
なお、国立大学の場合は私立大学のようなことはありません。全員国家試験を受けることができるので、純粋な合格率と言うことができます。
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