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発展途上国の医療事情:日本とタンザニアの医療の違い

 

<ライター:発展途上国で活躍する理学療法士>

 

はじめまして。私は理学療法士として病院や老人保健施設で働いておりましたが、2015年1月からタンザニア(中央アフリカ東部)の病院にて活動しております。まだ約半年ですが、その中で気づいた事を中心にいろいろ書かせていただきたいと思います。

 

そもそも自分が海外で活動してみたいと思ったのは、こんな自分でも日本で経験し、勉強してきた知識で、誰かのために少しでも力になれればという考えがあったからです。

 

そのため、タンザニアで活動することが決まったときは、「理学療法に関する知識や技術がまだまだ浸透していない中で、自分の知識を広めたり指導したりする」というような上から目線な感覚が少しあったように感じます。

 

しかし想像していた状態とは違い、発展途上国でもしっかりとした知識をもとにリハビリを行っているように感じています。

 

   

 

 タンザニアで感じる学問教育
日本とタンザニアで行われている医療を比べたとき、特に「診断」に関してはレベルが高く、自分の方が教わることのほうが多い状況でした。また、活動を始めてから新人の理学療法士が働き始めたり、学生が現場実習に来たりするのですが、みな堂々とリハビリを行っています。

 

日本の新人や学生と違い、不安な様子はなく、ベテランスタッフに混ざって普通に患者さんを診ているのがとても印象的でした。一概には言えませんが、卒前教育に関してはタンザニアのほうが優れている部分もあるのかもしれません。

 

自分の学生時代に比べると、座学での知識よりも、現場を意識して日々勉強しているのではないかと思います。実際、国家試験やテストの勉強はあまり行っていない様子でした。試験勉強にでるから学ぶのではなく、実習でわからなかったことや教わったことをその都度勉強して知識にしているように感じます。

 

国家試験やテストが意味ないとは言いませんが、こういった現場での知識習得を大事にする部分に関しては、日本も少し見習った方が良いです。

 

 日本と比較した医療
逆に、自分が日本の方が優れていると感じる点は「卒後教育が充実している点」だと思います。実際に現場での「診断」は優れていると感じる反面、その後の治療アプローチのバリエーションが少ないように感じます。また、「診断」と「治療」の間にある「評価」の部分に関しても課題が残 ります。

 

そのため、現場ではしっかりと診断を行うが、「その診断から推測される評価を行い、決められた治療を行っていく」という流れになっているように感じます。

 

流れの中で治らない患者に関して特に違うアプローチをするわけでもなく、「もっと自主トレ頑張って!」というような指導になるため、患者によってはリハビリに来なくなってしまいます。

 

あくまで、診断から推測することは大事ですが、「しっかりとした評価を行い、そこから考えられる治療法を個別に設定し、定期的に再度評価を行い、変化がなければ違うアプローチを考える」など治療の幅が出てくるとより良いのではないかと感じます。

 

評価や治療というのは、自分の持っている知識と今まで診てきた患者の経験の両方があわさって自分のものになっていきます。そのため、卒前の知識だけでは限界があります。

 

しかし、タンザニアでは日本のように研修会や勉強会などの卒後教育の機会が豊富にはありません。そのため、なかなか新しい知識や視点が増えず、ワンパターンな考え方に固定してしまいます。

 

そのため、少ないながらも行われている研修会が開催されたときでは、新しい知識や技術などが積極的に取り入れられている印象があります。そのため、研修会などの卒後教育の場がもっと多く提供できれば良いと思いますが、費用や理学療法士の人数などを考えると今すぐどうにかできる問題では無いように感じます。

 

自分は特別な技術をもっているわけではありませんが、日本にいたころ参加したいろいろな研修会の内容を伝えたり、一緒に調べて勉強したりすることで、お互いにレベルアップしていければと考えております。

 

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