添加物と医薬品(添加物の種類と副作用)
第十二章のジェネリック医薬品(後発医薬品)の冒頭で紹介したとおり、医薬品には添加物が含まれています。この添加物によって医薬品のカサを増したり、有効成分の苦味を抑えたりします。
医薬品の製造を行う上で添加物は欠かせません。そして、添加物を知れば副作用やジェネリック医薬品についても知識の幅を広げることができます。
添加物について
前述の通り、医薬品開発を行う上で添加物は必ず必要になります。医薬品全体の中に含まれる有効成分はごくわずかであり、そのほとんどは添加物です。
以下に、医薬品に含まれる主な添加物を記載しています。
このように、添加物にはさまざまな種類があります。そして、添加物は次のように定義されています。
○ 用いる添加剤はその製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなければならない
○ 添加剤は有効成分の治療効果を妨げるものであってはならない
つまり、添加物は私たちの体にとって無害であり、薬としての作用もないことが条件となっています。
しかし、実際にはこれは正しくありません。現実では添加物による副作用が発生しています。添加物と言っても、必ずしも無害である訳ではありません。
添加物の中には「接触性皮膚炎」や「中毒症状」を引き起こすものも存在します。例えば、「中毒症状」を起こす添加物としてベンジルアルコールがあり、これは注射時の痛みを和らげるための無痛化剤として使用されています。
そして、このベンジルアルコールを添加物として含有している注射薬の添付文書(説明書のようなもの)には、次のような文言が書かれています。
「本剤の添加物として含有されているベンジルアルコールによると疑われる中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)を来した新生児(低出生体重児)等の症例が報告されている」
このように、医薬品を適切に使用するための説明書である添付文書にも、添加物によって副作用の恐れがあると明言されています。そのため、副作用を考える上では有効成分だけではなく、添加物まで考慮する必要があります。
なお、基本的には添加物は無害です。そのため、「添加物の中には副作用などの有害事象を引き起こす物質もある」と認識すれば良いです。また、アレルギーを持つ人であれば、特定の添加物にアレルギー反応を起こしてしまうこともあります。
ジェネリック医薬品と添加物
ジェネリック医薬品と先発医薬品とで含まれる添加物が異なることがあります。先発医薬品からジェネリック医薬品へ変更することによって、それまで起こらなかった副作用を発症することがあります。この理由の一つとしては、添加物が違うことも考えられます。
ジェネリック医薬品と先発医薬品で添加物が異なる理由としては、次のような事があります。
○ 先発医薬品の特許が切れていない
○ 味や形を工夫している
○ 先発医薬品にはない新しい剤形を有している
例として、下に有効成分や剤形などが全く同じである先発医薬品とジェネリック医薬品の添加物を比べています。
先発医薬品 |
ジェネリック医薬品 |
|
使用されている添加物 |
乳糖水和物、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ポリソルベート80、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン、タルク | 結晶セルロース、カルナウバロウ、カルメロースCa、酸化チタン、酸化Mg、ステアリン酸Mg、タルク、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、マクロゴール6000 |
このように、先発医薬品とジェネリック医薬品で添加物が異なっていることは多いです。ただし、添加物によって起こる副作用は「先発医薬品であっても起こる」と考えることができます。
有効成分の吸収速度の違いなどによって起こる副作用はジェネリック医薬品によるものです。しかし、添加物による副作用は「たまたまジェネリック医薬品にその添加物が含まれていたため」と考えることができます。
副作用を起こした添加物がもし先発医薬品に含まれていたならば、先発医薬品でも副作用が発生していたはずです。そのため、添加物が異なるために先発医薬品からジェネリック医薬品に変更したら、それまで発生していた副作用が消失することも考えられます。
以上を踏まえた上で、先発医薬品からジェネリック医薬品に変更することで、添加物の違いによる副作用が発生することは十分に考えられます。そして、当然ながらその逆もあります。
このような副作用はジェネリック医薬品だから起こるのではありません。先発医薬品であっても、添加物によって副作用を起こすことがあります。
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