思い込みで出現する副作用
副作用のない薬はありません。もし、副作用がないのであれば、薬としての作用もないはずです。
この副作用ですが、「医師・薬剤師の患者に対する接し方」や「患者の薬に対する思い込み」によって副作用の発生頻度が異なってきます。
造影剤の副作用の場合
突然ですが、病院でCTを撮りたいと思います。CTとは、がんなどの病気発見に使用する測定のことです。そして、CTを撮るときに造影剤を飲みますが、この造影剤にはさまざまな副作用があります。※造影剤を飲まない場合もあります
そのため、造影剤を使用するときには副作用の説明をしなければなりません。このとき医師・薬剤師が患者に造影剤の副作用をどのように説明するかによって、副作用を訴える患者の数がなぜか変わってしまうのです。
造影剤の副作用について「一回だけ説明した患者」と「何回も説明した患者」がそれぞれ100人ずついるとします。このとき、副作用を訴える患数者は下の表のようになります。
一回だけ説明(100人) |
何回も説明(100人) |
|
速効型の副作用 が出た患者の数 |
5人 |
12人 |
おもしろいのはこれだけではありません。造影剤の副作用には時間が経過してから起こる遅延型(検査後数時間~数日後)があります。
CTには造影剤を使用する方法もあれば、造影剤を使用しない「単純CT」という方法も存在します。普通に考えて、単純CTでは造影剤を使用しないのため、副作用が発生しません。
しかし、後にアンケートを取った結果、造影剤を使用していないこの単純CTの患者でさえも、なぜか遅延型の副作用を訴えるようになるのです。
副作用を説明しない場合
それでは、副作用のことを全く説明しなかったらどうなるでしょうか。薬の副作用を説明しないのは適切な医療に反する行為ですが、もし説明しなかったら副作用の発生頻度はもっと減少するかもしれません。
ある薬の場合、副作用の説明をしなかったら副作用を訴える患者は0人であったが、副作用の説明をしたら副作用を訴える患者が何%か増えてしまったといいます。
結局は薬に対して患者がどのような心構えをするかによるのかもしれません。薬の副作用ばかり気にしているようでは、ずっと副作用に悩まされるでしょう。あまり気にしない人であれば、もっと気楽に人生を楽しむことができるのかもしれません。
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