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役に立つ薬の情報~専門薬学

薬の形(錠剤・カプセル・粉薬・液剤)

 

薬といっても、その種類は錠剤やカプセル剤以外にも「おしりに挿入する坐剤」や「塗り薬として使用される外用薬」など、さまざまな形があります。

 

さらに、錠剤にも「普通錠」、「OD錠」、「徐放錠」など、多くの種類が存在します。ここでは、さまざまな薬の形について紹介していきます。

 

 薬の添加物
薬の形について説明する前に、薬がどのように構成されているかを紹介します。多くの薬は有効成分として1錠に数ミリから数十ミリグラムの薬が含まれています。化学物質で数ミリグラムの重さであれば、耳かき一杯分程度のとても少ない量となります。

 

薬の有効成分だけを服用することは難しく、現実的ではありません。少し風が吹くだけで成分が飛ばされてしまいますし、薬が何処に行ったか分からなくなります。

 

そのため、実際には添加物を加えることで、薬の見かけ上の体積を大きくします。このような添加物を賦形剤といいます。

 

他にも、添加物としては「医薬品の品質を守る安定剤や溶けるのを助ける溶解補助剤」や「薬を膜によって覆うことで苦味を抑えるコーティング剤」など、さまざまな種類があります。薬としての有効成分と添加物を寄せ集めることで、薬の形が作られています。

 

 内服薬
経口投与(口から飲むこと)によって服用する薬

 

 ・錠剤

裸錠(素錠) 糖衣錠

裸錠(素錠)

糖衣錠

乳糖やデンプンなどと薬の有効成分を混ぜ、そのまま錠剤の形としたものです。 裸錠の周りを砂糖で包んだ錠剤です。砂糖で覆うことにより、苦味をマスクします。

フィルムコーティング錠

腸溶錠

フィルムコーティング錠

腸溶錠

裸錠の周りを水溶性の高分子の膜で覆った錠剤です。苦味や臭いなどをマスクします。 胃で溶けず、腸で溶けるように設計された薬です。薬が胃酸に弱い場合に使用されます。

徐放錠

口腔内崩壊錠(OD錠)

徐放錠

口腔内崩壊錠(OD錠)

少しずつ溶けていくことで、長時間薬の効果が持続するように設計された薬です。 水なしで服用できる錠剤です。唾液によって、錠剤が崩壊します。

舌下錠

チュアブル錠

舌下錠

チュアブル錠

舌の下に入れ、唾液によって溶かす薬です。急速に吸収され、初回通過効果を受けません。 噛み砕いて服用する薬です。通常の薬は噛み砕いての服用は不可となります。

 

 ・徐放錠の有意性
血液中の薬物濃度が高くなってしまえば、その分だけ毒性域に近づいてしまいます。薬を服用した直後の場合、薬の濃度が高くなって毒性域に近づきます。

 

その逆に、血液中の薬の濃度が低いと、薬としての効果が薄れてしまいます。薬を服用する直前であれば無効域に近づいて、薬の効果が弱くなっていることが考えられます。

 

 

徐放錠の有意性
これに対し、徐放錠は少しずつ薬が溶け出していくため、薬を服用後の急激な血液濃度の立ち上がりを防ぐことができます。これによって、毒性域に近づくことがなくなります。

 

また、徐々に腸から吸収されていくため、血液濃度の推移をゆるやかにすることができます。そのため、薬の濃度を一定にすることができて、薬の効果が薄くなる無効域に近づくこともなくなります。

 

 カプセル、粉薬、液剤

 

・カプセル
カプセル剤には硬カプセルと軟カプセルの二種類があります。カプセル剤は味や臭いを隠すことができます。徐放性のカプセル剤も存在します。

硬カプセル

軟カプセル

硬カプセル

軟カプセル

比較的硬いカプセルの中に散剤や顆粒剤などが入っています。 比較的軟らかいカプセルです。軟カプセルの中に液体の薬を入れることもあります。
・粉薬

顆粒剤

散剤

顆粒剤

散剤

粒状の薬です。散剤よりも粒が大きいです。 粉状の薬です。顆粒よりも粒が細かいです。

ドライシロップ

ドライシロップ

散剤のようなパウダー状である場合が多く、服用時に水へ溶解・懸濁して飲む薬です。
・液剤

水剤

シロップ剤

水剤

シロップ剤

液体の薬です。薬を水に溶かしたり懸濁させたりしています。 水剤に砂糖や甘味料を加えることにより、苦味などをマスクして飲みやすくした薬です。

 

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