急に供給停止になるジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品は良い点ばかりではありません。実際にはデメリットも存在しますが、「ジェネリック医薬品の問題点」に関してはほとんど知らされていないのが現状です。
そこで、ここでは敢えて「ジェネリック医薬品の問題点」に焦点を当てていきたいと思います。
急に供給停止になるジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品の大きな問題として、「突然、供給停止に陥る」という事があります。つまり、何の前触れもなく医薬品が使えなくなってしまいます。
それまで使っていた薬が急に使えなくなるため、患者さんは困ってしまいます。他のジェネリックメーカーに変更しなければいけませんが、たとえ同じ成分であっても完全に同一である訳ではありません。
また、メーカーが変われば薬やPTPシートのデザインも変わります。そのため、同じように診察を受けて薬を貰いにいくと、薬の種類が変わっているように思ってしまい、患者さんはビックリします。医療関係者にしても、「ジェネリックメーカーの供給停止によって……」と丁寧に説明してもなかなか理解して貰えません。
このような問題が起こるため、本来であれば医薬品の安定供給に出来る限り努める必要があります。しかし、現実にはジェネリックメーカーの供給停止は頻繁に起こります。
この理由としては、主に次の2つが多いです。
・原薬の調達トラブル
・規格外の製品が検出される
それぞれ順に説明していきますが、最初に原薬の調達トラブルについてです。
医薬品には有効成分以外に添加物が含まれています。この中でも、医薬品に含まれる有効成分の事を「原薬」と表現します。この原薬の製造を国内メーカーに任せている場合があれば、海外の原薬メーカーに依頼している場合もあります。
この時、有効成分である原薬を調達する時、計画通りに原薬を入手できなくなるケースがあります。
原薬の輸入先として韓国や中国が多いです。ただ、これら海外メーカーからの原薬調達が滞ることによって、いくつかのジェネリック医薬品が供給停止に陥った事が何回もあります。
医薬品を販売する以上、厳格な基準をクリアした工場で原薬を製造しなければいけません。この基準は国内の原薬メーカーに限らず、海外の原薬メーカーに対しても日本の基準が適応されます。
そのような中、海外の原薬メーカーの工場が原薬を製造するために必要な基準を満たしていないことが判明し、原薬の供給停止に陥った事があります。その結果、医薬品自体も供給停止になります。
さらに悪いことに、一社の原薬メーカーが数社のジェネリックメーカーに原薬を納入している場合が多いです。そのため、一社で原薬供給が停止してしまうと、同時に何社ものジェネリックメーカーの商品が供給できなくなってしまいます。
他にも、原薬調達が滞ってしまう原因として「資金繰りによって、原薬メーカーの工場が一時製造停止に陥る」、「連絡無しの原薬製造中止」など理由はさまざまです。
多くのジェネリックメーカーは原薬を1ヶ所から調達しており、複数箇所から原薬を仕入れているケースは少ないです。そのため、契約している原薬メーカーが供給困難に陥ると、同時にその原薬に使用されている商品自体も供給停止になってしまうのです。
このような原薬の調達トラブルによって、いつも服用していた薬が急に使えなくなってしまうことがジェネリック医薬品では比較的多いです。
承認時と比べて規格外の商品が検出
規格外の商品が検出されるケースも先発医薬品に比べて多いです。
医薬品は体内に入った後、胃や腸の中で徐々に崩壊していきます。そこで、この時に「崩壊や溶出が適切な速度で行われているか」この崩壊・溶出する速度が基準より遅ければ、薬の体内への吸収速度が遅れるなどによって効果にバラつきが出てしまうからです。
このようなバラつきがあるかどうかを確かめるために、薬が溶けていく様子を試験管レベルで測定します。このような試験として溶出試験や崩壊試験があります。
定期的にこれらの試験を行うことによって、薬の品質が一定基準であることを確認するのです。他にも、薬の純度を調べる純度試験などさまざまな項目があります。
そして、これらの品質に問題が発生する場合があります。崩壊試験や純度試験などによって薬の品質を調べた時、規格に合わないのです。つまり、薬の作用にバラつきを生じる恐れが出てきます。
このような規格違いの製品が発見された場合、品質に問題がある製品として「回収」が行われます。一部の規格違いであれば大きな問題とならない場合が多いです。しかし、長期に渡って規格に合わなかったり、今後の品質保証が難しかったりすると無期限の供給停止となります。
規格違いの商品に関して、「回収」まで至らないにしても先発医薬品より安定性が劣っているジェネリック医薬品のケースがあります。
実際の臨床現場で医薬品を使用するとき、患者さんに合わせて処方を工夫することがあります。例えば、錠剤やカプセルなどの飲み込みが難しいお年寄りに対して、服用しやすいように錠剤を粉砕して薬を渡すことがあります。原則として錠剤の粉砕やカプセルの開封を行うべきではありませんが、これはケースバイケースです。
その上で、多くの薬は安定性試験として「薬を粉砕した時の純度や外観」などを数ヶ月単位の時間経過と共に確認しています。錠剤などを粉砕した時の安定性をデータとして取っていくのです。
先発医薬品は粉砕しても6ヶ月後も品質に問題ありませんがジェネリック医薬品では粉砕すると1ヵ月後には「規格外」として品質が保障できない商品も実際にあります。
先発医薬品で錠剤の粉砕やカプセルの開封をしても問題ないからと言って、必ずしもジェネリック医薬品でも同じように大丈夫なわけではないのです。
ジェネリックメーカーは、「粉砕は通常の想定範囲から逸脱する行為なので、お答えできない」と言いますが、実際には錠剤を半分に割ったり粉砕したりして服用するケースがあります。
そのような場合に先発医薬品と同じだと思って薬剤師などが錠剤の粉砕を行うと、有効成分の含量が時間経過と共に減ってしまうことになります。つまり、実際に患者さんが薬を家に持ち帰って服用するときに含まれる有効成分が分解され、病気を改善できなくなっている事もあるのです。
需要減少による供給停止
実は供給停止の主な理由として「需要減少」があります。医薬品はヒトの命を扱う製品です。そのため、「利益率が低い」や「需要が少ない」という理由で中止されると、医療現場では大きな混乱を招いてしまいます。
このように、ジェネリック医薬品には製品の回収や供給停止による混乱、また製品自体の品質問題が隠されています。これを改善しなければ、本当の意味で安心してジェネリック医薬品を使うことができなくなってしまいます。
これら回収や販売中止は先発医薬品も例外ではありませんが、現状での頻度はジェネリック医薬品の方が多いのは確かです。
※当然、ジェネリック医薬品でもオリジナルな医薬品と変わらないくらい素晴らしいものはあります。しかし、ジェネリック医薬品には「問題点」があることも忘れないでください。
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