バイオベターとは:従来品を改良したバイオ医薬品
ジェネリック医薬品とバイオシミラー(バイオ後続品)は別物です。概念自体が異なっており、バイオシミラーでは臨床試験が課せられるなど、厳しい審査が必要になります。
ただ、先発医薬品よりも高いシェアを有しているジェネリック医薬品があります。このような医薬品として、腎不全による高カリウム血症を治療するアーガメイトゼリーがあります。
ゼリー製剤として開発することによって服用のしやすさを改善し、水なしで薬を服用できることを可能にしました。その結果、ジェネリック医薬品でありながら先発医薬品よりも高いシェアを獲得することが出来ました。世の中には先発医薬品を超えるジェネリック医薬品も存在するのです。
これと同じことが、バイオ医薬品に対しても言えます。バイオ医薬品の場合、先発医薬品の特許が切れた後に発売される薬としてバイオシミラー(バイオ後続品)があります。
このバイオシミラーですが、中には先発医薬品を改良することによって、より大きな効果を得たり副作用を回避したりした医薬品があります。
バイオベターとは
バイオシミラーの場合、基本的には先発医薬品と同じ効果を期待して使用されます。それに対して、先発医薬品をさらに改良したバイオ医薬品の場合、バイオシミラーとは呼ばれなくなります。
どうなるかと言うと、従来品よりも良いバイオ医薬品として「バイオベター」と呼ばれます。少しややこしいですが、「先発医薬品と同等の作用が期待されるバイオ医薬品」がバイオシミラーであり、その改良品がバイオベターとなります。
それでは、バイオベターの例を紹介していきます。
バイオ医薬品の一つとして、抗体を利用した薬があります。感染症に罹った時、その病原菌に対抗するために抗体が作られます。これによって、再び同じ感染症を発症しないように備えます。この時の抗体をバイオ医薬品として利用することで、抗がん剤やリウマチの治療薬として応用することができます。
この時に使用する抗体ですが、より少ない抗体の量で強い作用を発揮させる技術を持っている企業があります。ある日本企業では従来の抗体を改良することによって、それまでの100倍以上高い抗腫瘍効果を示すことが確認されています。
少ない量での投与が可能になるため、副作用の軽減が期待されています。
このように、先発医薬品と同じような作用を有するバイオシミラーだけでなく、従来品を改良したバイオベターの開発も重要になります。
なお、抗体を利用したバイオ医薬品として、抗体の一部にマウス由来のタンパク質を利用した医薬品があります。この場合、マウス由来のタンパク質によってアレルギー反応を引き起こすことがあります。また、完全なるヒト由来の抗体ではないため、効果が薄くなってしまうこともあります。
このようなバイオ医薬品の場合、先発医薬品と同じようにマウス由来の部分を持った医薬品ではなく、完全なるヒト由来だけの抗体を使ったバイオシミラーを開発しても良いことが分かります。
ただ先発医薬品の真似をするのではなく、改良も加えることで差別化を図ることも重要となります。
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