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役に立つ薬の情報~専門薬学

先発医薬品でも添加物が違えばアレルギーが出る

 

添加物の違いにより、ジェネリック医薬品への変更によって効果が違ったり、副作用が出てしまったりすることもあります。ただし、これは先発医薬品でも同じです。

 

そのため、いずれにしても薬を変更するときには注意しなければいけません。

 

 添加物の違いによるアレルギー
添加物の違いによってアレルギー反応が表れる事があります。そこで、先発医薬品として「同じ成分が含まれているが、ちょっとした添加物の違いによって副作用が表れる例」を紹介します。

 

今回紹介する薬は皮膚科領域の医薬品です。皮膚炎などが起こった場合、これら炎症による腫れなどを抑えるために塗り薬が使用されます。この塗り薬としてマイザーと呼ばれる医薬品があり、この種類の薬には軟膏タイプとクリームタイプの2種類があります。

 

軟膏タイプはマイザー軟膏、クリームタイプはマイザークリームと呼ばれます。そして、この薬は軟膏タイプとクリームタイプで含まれる添加物が異なっています。

 

ここでは1つの添加物を取り上げますが、マイザークリームに含まれている添加物の1つとしてクロタミトンと呼ばれる物質があります。この添加物としてのクロタミトンはマイザー軟膏には含まれていません。

 

マイザークリーム

マイザー軟膏

有効成分

ジフルプレドナート

添加物

クロタミトン,ステアリン酸グリセリン,ポリオキシエチレンセチルエーテル,パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸プロピル,クエン酸,クエン酸ナトリウム,エデト酸ナトリウム,プロピレングリコール,白色ワセリン,セタノール,ミリスチン酸イソプロピル プロピレングリコール,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,サラシミツロウ,流動パラフィン,白色ワセリン

 

そして重要なのは、「今回添加物として紹介したクロタミトンという成分自体が医薬品として用いられている」ということです。クロタミトンを主成分とする医薬品として、オイラックスクリームと呼ばれる薬があります。この薬は皮膚のかゆみを抑える塗り薬として使用されます。

 

医薬品である以上は必ず副作用もあるのですが、クロタミトンが主成分であるオイラックスクリームの副作用として熱感や刺激症状(ピリピリ感、ひりひり感)などがあります。過敏症としては接触性皮膚炎も知られています。

 

オイラックスクリーム自体は比較的副作用の少ない薬ですが、それでも患者によっては主成分のクロタミトンによる副作用が起こることもあります。

 

これを踏まえた上で、皮膚の炎症を抑える目的で使用されるマイザークリームにも添加物としてクロタミトンが含まれています。そのため、マイザークリームの使用によってオイラックスクリームで見られていた副作用が表れることも考えられます。

 

マイザー軟膏とマイザークリームで同じ主成分(有効成分)が含まれている事には変わりがありませんが、その添加物まで確認すると違いが表れます。マイザー軟膏にクロタミトンが含まれていない事を考えると、マイザー軟膏からマイザークリームへ変更することにより、添加物による副作用が表れることもあります。

 

このように、医薬品の主成分として使用されている物質が「他の薬の添加物として使用されていること」があります。

 

添加物として使用する際には「私たちの体にとって無害であり、薬としての作用もない」という条件がありますが、この条件は建て前であることが分かります。実際には医薬品として使用されている成分であっても、添加物として使用されることがあるのです。

 

このような事実から、たとえ同じ成分であっても含まれる添加物の違いによって副作用が表れることもあるという事をより理解して頂けたと思います。

 

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