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添加物によるジェネリック医薬品問題

 

ジェネリック医薬品では、添加物の違いによってアレルギーが出てしまう事があります。そのため、ジェネリック医薬品へ変更する時に注意しなければいけません。

 

ただし、この添加物による問題は先発医薬品であっても同様に発生する問題でもあります。そのため、ジェネリック医薬品に限らず、全ての医薬品でチェックされる必要があります。

 

 添加物でアレルギーが発生する例
それでは、実際に「どのような添加物が医薬品で問題となるか」について確認していきます。アレルギーを引き起こす添加物は様々ですが、例として以下のようなものがあります。

 

 ・卵黄レシチン:卵アレルギー
 ・大豆レシチン:大豆アレルギー
 ・トウモロコシデンプン:とうもろこしアレルギー
 ・バレイショデンプン:じゃがいもアレルギー
 ・カゼイン:牛乳アレルギー
 ・小麦デンプン:小麦アレルギー

 

この中でも、今回は先発医薬品を例に出して話を進めていきます。添加物の違いによってアレルギーが発生するのは先発医薬品であっても同じです。それでは、これまでの薬に含まれていた添加物を改良した例を紹介します。

 

牛乳やチーズなどに含まれるタンパク質の一つとしてカゼインがあります。このカゼインが医薬品の添加物として使用される事があります。牛乳を飲むことによってアレルギーを引き起こす人がいますが、この原因としてカゼインがあると考えられています。

 

カゼインは安定化剤として使用され、水に溶けにくい物質を溶けやすくするなどの性質を持っています。実際にはより使いやすいカゼインナトリウムが頻用されますが、この添加物を加えることによって薬の吸収などを助けるのです。

 

これらカゼインナトリウムを添加物として含んでいる医薬品として抗生物質があります。

 

平成12年に「カゼインを含む抗生物質と牛乳アレルギーとの関連が疑われるアナフィラキシー様症状」が報告されたことがあります。そのため、カゼインナトリウムを含む医薬品は牛乳アレルギーの人に対しては禁忌であり、投与してはいけないことになっています。

 

これら抗生物質の中でも、それまで含まれていたカゼインナトリウムを無添加に改善した先発医薬品としてメイアクトMSがあります。それまでは小児に使うための小児用細粒にカゼインナトリウムが含まれていたため、牛乳アレルギーの小児に対しては使用することができませんでした。

 

そこで、カゼインナトリウムを添加していない薬としてメイアクトMSが新たに発売されました。他の抗生物質では添加物としてカゼインナトリウムを使用していることもありますが、メイアクトMSは牛乳アレルギーを気にせずに使用できるカゼインフリーの医薬品として改良されました。

 

なお、「カゼインナトリウムを無添加にした医薬品」として発売されたメイアクトMSですが、錠剤を新たに発売する時に服用しやすいように小型化させた事も一つの特徴となっています。

 

メイアクトMSに対するジェネリック医薬品は既に発売されていますが、先発医薬品に比べるとかなり錠剤が大きいです。このような差も先発医薬品とジェネリック医薬品との違いと言うことができます。

 

なお、薬の主成分を安定化させるための添加物としてカゼインナトリウムを取り除いたという事は、それに変わる他の添加物が使用されているはずです。実際、溶解補助剤として薬を溶け易くする工夫が施されている場合、そのほとんどで特許が取得されています。

 

そのため、カゼインナトリウムに変わる成分としてどのような工夫が施されているか気になるところではあります。

 

そこで先発医薬品としてメイアクトMSを発売しているメーカーに聞いてみましたが、残念ながら商取引上の決まりで教えることが出来ないようです。

 

医薬品の使い方が記載されている紙として添付文書がありますが、この添付文書を見るとメイアクトMSに含まれている添加物として「その他の一成分」という文言があります。

 

含まれている添加物から考えてもこの「その他の一成分」が怪しいのですが、この成分に関しても商取引上の決まりで教えることが出来ないとのことです。とても残念な気持ちです。

 

ちなみに、このような話をすると「先発医薬品だって添加物を大きく変えているため、効果が違うこともあるのではないか」と言う人が必ず出てきます。確かにその通りであり、今回出した例のようにカゼインフリーにすることによって添加物を変えています。錠剤自体もそれまでより小さく変更しています。

 

このような違いがあるため、当然ながら人によっては吸収などの違いによって効果に差が出てくることもあると思います。ジェネリック医薬品だから先発医薬品と比べて効果に違いがあるのではなく、先発医薬品であっても添加物など違いがあれば人によって効果に差が出てくることは十分に考えられます。

 

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