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代替調剤:ジェネリック医薬品の推進策

 

ジェネリック医薬品を考える上で、とても重要となる概念の一つに「代替調剤」があります。

 

代替調剤とは、「処方箋に書かれている名前と違う薬を出すこと」を指します。簡単に考えると、先発医薬品をジェネリック医薬品へ変更する事と認識できれば良いです。

 

 代替調剤とは
「ジェネリック医薬品へ変更したい」と申し出ることにより、先発医薬品からジェネリック医薬品へ変えてもらう事ができます。「処方箋には先発医薬品の名前が書かれているが、実際に出される薬の名前が違う」ので、この場合を代替調剤と呼びます。

 

現在では代替調剤が可能になっているため、薬局の薬剤師に伝えることで特別な場合を除いてジェネリック医薬品へ変えることが出来るようになっています。

 

原則として、薬剤師は処方箋通りに調剤しなければいけません。この例外を認めるためのルールが代替調剤になります。

 

この代替調剤によって先発医薬品からジェネリック医薬品へ変更する事が出来ますし、ジェネリック医薬品から他メーカーのジェネリック医薬品への調剤も可能になりました。

 

例えば、痛み止めとしてロキソニンという薬を処方してもらったとしても、同じ成分が含まれているジェネリック医薬品へ変更する事が出来ます。うがい薬として有名なイソジンであっても、代替調剤によってジェネリック医薬品への変更が可能です。

 

先発医薬品の商品名が処方せんに書かれていたとしても、「成分が同じである事」を前提にして別の商品を調剤していくのです。

 

処方箋に書かれた通りしか調剤出来ない場合、先発医薬品からジェネリック医薬品への変更が難しいです。これを可能にしたルールが代替調剤であるため、ジェネリック医薬品では代替調剤の存在が重要になります。

 

また、この時の代替調剤としては「薬の形が異なる医薬品を調剤しても良い」ことになっています。薬の形を「剤形」という言葉で表現しますが、この剤形としては錠剤やカプセルなどいくつもの種類が存在します。粉薬や水剤、坐剤などによっても薬の形が違うことも分かります。

 

そして代替調剤では「薬の形が似ている場合」であれば剤形を変更しても良いことになっています。例えば、成分が同じであれば錠剤からカプセルへ変更しても問題ありません。

 

錠剤とカプセルでは薬の形が大きく異なるように思えますが、代替調剤では「薬の形が似ている」として変更可能なケースの1つです。

 

そのため、処方箋に錠剤が書かれてあったとしても、ジェネリック医薬品へ変更を希望することにより、場合によってはカプセルを調剤されることがあります。

 

ただし、錠剤から粉薬へはさすがに剤形が違いすぎるとして代替調剤を行うことは出来ません。このようにいくつかルールは存在します。

 

代替調剤では「処方せんに書かれた商品名以外の薬を調剤できる」だけでなく、すぐに薬を用意できない場合に備えて「剤形変更して薬を調剤する」という事も可能になっています。

 

なお、これら剤形変更の例外として塗り薬や点眼薬などの外用薬と呼ばれる種類の薬があります。外用薬は代替調剤による剤形変更ができません。

 

例えば、塗り薬の中でもクリーム製剤や軟膏、ローションと種類があります。一見するとクリーム製剤と軟膏は似ている商品です。そのため、剤形変更として代替調剤が可能なように思えます。

 

しかし、外用薬に限って言えば代替調剤による剤形変更を行うことが出来ないようになっています。ジェネリック医薬品へ変更するからと言って、クリーム製剤から軟膏へ変えることは出来ません。

 

ジェネリック医薬品へ変えることによって効き目に違いを生じる事がありますが、そうは言っても錠剤などの飲み薬であれば効果の違いが起こるケースは少ないです。しかし、外用薬ではジェネリック医薬品への変更によって効果の違いが顕著に出やすいです。

 

ちなみに、先発医薬品であっても、外用薬では剤形が変わると効果に違いが出やすいです。同じ先発医薬品で同じ成分であったとしても、クリームや軟膏、ローションなどによって効き目が違ってしまうのです。

 

ここでジェネリック医薬品へ変更し、さらには剤形まで変えてしまうと、外用薬の効果に著しい変化が出てしまう可能性が高まります。そのため、外用薬では今後も「剤形まで踏み込んでの代替調剤」を禁止した方が、ジェネリック医薬品変更による悪影響を回避しやすくなります。

 

なお、これら代替調剤のメリットとしては、一般名処方と同じようにジェネリック医薬品への変更が加速して、全体の医療費が削減されることが挙げられます。

 

ただし、代替調剤には制約もあります。それは、薬の値段を考慮しなければいけない事です。

 

値段の安いジェネリック医薬品を調剤することが前提でこれら代替調剤が認められています。そのため、ジェネリック医薬品への変更によって薬の値段が高くなる場合は代替調剤が認められません。

 

先発医薬品よりも値段の高いジェネリック医薬品が世の中には存在します。そのため、たとえ区分はジェネリック医薬品であっても、値段の高くなるジェネリック医薬品への変更は認められないようになっています。

 

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