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役に立つ薬の情報~専門薬学

遺伝子:遺伝情報の汚染

 

死んだはずの猫や犬が蘇ったら多くの人は恐ろしいと思うはずです。しかし、この技術は現実にあります。それがクローン技術です。

 

アメリカでは飼い主からの依頼で、死んでしまった愛猫をクローン技術で蘇らせてもらうことができます。しかし、これらの動物は模様などの外見も違えば性格も異なります。必ずしもオリジナルの猫と全く同じとはならないのです。

 

クローン技術といえば「クローン羊のドリー」の話はとても有名です。ドリーは母親と全く同じ遺伝子をもった世界で初めての動物でした。しかし、ドリーは多くの病気を併発し、寿命がとても短かったのです。

 

遺伝子を変えるということは、思わぬ結果を生み出します。クローン技術によって絶滅した動物を蘇らすことが可能となるかもしれません。実際に食べ物としては遺伝子組換え食品が店頭に並んでいる国もあります。

 

これらの技術が未来にどのような影響を生むかは誰にも分かりません。一面ではそれまで不可能だったことが可能となり、拒絶反応のない臓器の提供や新薬の開発につながるかもしれません。

 

しかし、裏返してみれば生態系の異常や遺伝子を操作することによる新しいウイルスの発生が起こるかもしれません。

 

 クローン牛の出荷
実は1993年以降、日本でクローン牛が食肉食品として出荷されていたことがあります。2003年、当時の日本政府はクローン牛からの肉類や乳製品は安全だと宣言しました。

 

これらの牛は体細胞を使用したものでなく、受精卵を使用したクローン牛です。受精卵を使用したクローンと体細胞を使用したクローンは異なります。

 

 クローン技術

 

体細胞を利用するクローンでは親と同じ遺伝子をもつことができます。受精卵の利用では目的とする親の遺伝子情報を半分しか受け継ぐことができません。

 

しかし体細胞を利用したクローンは圧倒的に死産が多く、様々な問題があります。そのため、まだ体細胞クローン牛の販売は認められていません。

 

 遺伝子組換え技術
遺伝子組換えという言葉を聞いたら「遺伝子組換え食品」を思い浮かべる人は多いと思います。しかし遺伝子組換え食品を買いたくないという人の中で、なぜ遺伝子組換え食品は安全ではないかをきちんと説明できる人は多くはないと思います。

 

遺伝情報は生命にとって重要な役割を果たします。ヒトにおいては約0.2%の遺伝情報の違いが個人の違いを生み出します。また、たった一ヶ所の塩基配列(遺伝情報)が違うだけで異なるタンパク質が作られます。

 

植物でも遺伝情報を変えることで元の植物とは異なるタンパク質を作ってしまう可能性は十分にあります。「今まで存在しなかったタンパク質が胃などによって分解され、その分解産物が体に悪影響を与えるかもしれない」、遺伝子組換え食品にはこのような心配があります。

 

遺伝子組換え技術に対する心配は、食品だけではなく生態系への影響もあります。遺伝子を組み換えた食品の種が運送中にこぼれ落ち、繁殖する可能性があります。遺伝子を組み換えた動物が逃げ出してしまうことも考えられます。

 

日本では外国産の植物や動物によって生態系に影響を及ぼしたことが実際にあります。それがブラックバスなどの外来魚の問題です。これらの問題が遺伝子組換え技術によって引き起こされるかもしれないのです。

 

実際にアメリカでは遺伝子を組み換えた鮭の販売許可が下りました。この鮭は成長を促進する遺伝子を組み込むことで、天然の鮭よりも倍の速さで売ることのできるサイズに成長することを可能にしました。

 

この技術は鮭だけでなく牛、豚、ニワトリなど様々な動物にも適応されていくとが考えられます。

 

しかしながら、「遺伝子組換え技術=悪い」というのは間違っています。この技術によって食品生産が安定し、価格が安くなるかもしれません。また、生き物の乱獲が減るかもしれません。この技術は当然ながら良い面もたくさんあります。

 

むしろ、「使い方によっては良い面の方が格段に多く、素晴らしい技術である」と私は考えています。

 

 大切な遺伝情報
生態の遺伝子が汚染されると様々な病気を引き起こすだけでなく、子孫にも影響する可能性があります。紫外線を多く浴びると皮膚がんを発病しやすくなります。これは紫外線が遺伝子に異常を起こすためです。

 

もちろん遺伝子に影響を与える要因は紫外線だけではありません。化学物質によっても影響を与えます。身の回りには多くの化学物質があふれています。その中には遺伝子に影響を与えるものも含まれています。これらの物質はがんなど様々な病気を引き起こす要因となります。

 

現在、ヒトゲノム情報が解析され新薬開発やオーダーメイド医療などの期待が高まっています。オーダーメイド医療によって薬の効果は今までの数倍になるかもしれません。

 

しかし、個人の遺伝情報は究極のプライバシーです。遺伝情報の違いによってはがんになりやすい、心臓病にかかりやすいなどがあります。これらの情報は厳重に管理される必要があります。

 

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