空気:運ばれる化学物質
空気が汚れると病気になります。その例が、四大公害の一つである四日市ぜん息です。大気汚染としてはダイオキシンも問題となっています。
これは、ただ単に私たちの健康に害を及ぼすだけではありません。生態系にまで影響することがあります。食物によって体内に有害物質が取り込まれることは十分危険ですが、空気中の有害物質を肺から吸収することも危険なのです。
私が高校生のころ、化学の授業で先生が実際に塩素入りのサランラップを燃やしたことがあります。そのとき私の席は教室の後ろの方でしたが、それでも燃やして数秒後にかなりきつい臭いを嗅いだのを覚えています。ダイオキシンが発生したのです。
有害物質は風によって運ばれます。そのため、自分では気づかないうちに体が汚染されているかもしれません。
有害物質は思わぬところから発生する場合があります。それに気づかなければ病気という形で現れてきます。
また、化学物質だけが問題となるのではありません。風によって運ばれる花粉なども花粉症として問題となります。
室内汚染
日本ではあまり見かけませんが、外国では暖炉で薪を燃やす家もあります。木を燃やすことで有害物質が発生するとは、たぶんだれも思わないかもしれません。しかし実際は有害物質が発生することがあります。
理由は防腐剤にあります。これを塗った木材を燃やすと有害物質が発生します。実際に家でたきぎを燃やしていて、慢性中毒になった人がいます。
また、殺虫剤や除草剤などを撒く場合は注意が必要です。特に家庭で殺虫剤を散布するときに近くに子供や妊婦がいるならば控えることをオススメします。
これは自分自身だけが注意しても仕方がありません。周りの人も協力する必要があります。
しかし、私たちは夏に蚊が飛んでいるとついつい殺虫剤を使用するものです。電気蚊とり器(マット式殺虫剤)を一晩中つけっぱなしにすることもあります。蚊を殺した後に換気をすればいいですが、多くの人はそこまで気が回ってないと思います。
実際には殺虫剤は虫に効くのであり、虫に対して体の大きい人間への毒性は少ないです。しかし、たとえ量は少なくても人によってアルコールに強い人と弱い人がいるように、化学物質に敏感な人もいます。
特に、母親の中にいる胎児はとても化学物質に対して敏感なため、注意をしすぎることはないと思います。
風で運ばれる物質
有機栽培の基準として「3年以上、農薬などの薬剤を使用しない」という基準があります。この理由は「土 -農薬の被害-」で紹介しました。
しかし有機栽培を実現するには他にも重要な要素があります。それは本当にその農作物は「完全に」薬剤の影響を受けていないのかということです。
当然ながら農薬を散布すれば、その影響は風によって隣の田畑まで及びます。いくら自分が農薬を全く散布していなくても、間接的に農薬の影響を受けていることになります。
これでは本当の意味で有機栽培とはいえません。当然ながら、その場合は政府からの「有機JASマーク」を付けることもできません。
このように薬剤は風で運ばれます。しかし、運ばれるのはこのような化学物質だけではありません。その一つが花粉です。いつも3月になるとくしゃみや鼻水で大変という人がいると思います。
日本での花粉症は主にスギ花粉症です。日本は戦後に安定した木材供給を目的として、自然林を伐採して多くの杉を植林しました。すると日本での杉の絶対量が多くなり、その結果として花粉症が日本に蔓延したのです。
花粉症による経済的損失は毎年数千億円といわれています。外国でも花粉症は存在します。しかし、それは杉が原因で起こるスギ花粉症ではありません。
多くの人が花粉症を根絶したいと考えると思います。そのための対策として、「日本での杉の本数を減らす」などがあるかもしれませんが、現実的にはかなり難しいです。
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