細菌細胞の特徴
細胞の形
抗生物質がどのようにして細菌に働くかは、細菌やウイルスの構造や特徴を知っておかないといけない。なぜなら、細菌の特徴を知ることで「その薬が効くかどうか」「どこを標的とする薬を作ればいいか」などを知ることができるからである。
細菌を形から分類すると球菌、桿菌、らせん菌の三つに大きく分けられる。
細胞壁
ほとんどの細菌には細胞壁が存在する。そして、この細胞壁のおかげで細菌は細菌としての構造を保つことができるのである。なお、ヒトの細胞には細胞壁が存在しない。
細胞壁の合成を阻害する薬を投与すると、細菌は細胞壁がないと生きていけないので死滅してしまう。このように抗生物質は細菌を殺しますが、細胞壁とは全く関係ないヒトには副作用がほとんどでない。
細胞壁をもつ細菌は、さらにグラム陽性菌とグラム陰性菌に分類される。この区別は細胞壁の構造に違いによって分類され、グラム染色という方法によってグラム陽性菌かグラム陰性菌かを見分けることができる。
グラム陽性菌の細胞壁の大部分はペプチドグリカンで占められている。ペプチドグリカンは糖とアミノ酸から構成されていおり、その他にもタイコ酸や多糖体などが存在する。
それに対し、グラム陰性菌の細胞壁のペプチドグリカン層は少量である。ペプチドグリカン層は少量ですが脂質やタンパク質に富んでいる。
ただし、このような細胞壁をもたない菌も存在する。例えば、マイコプラズマは細胞壁をもたないため、細胞壁を阻害することで作用する抗生物質は全く効果がない。
酸素の影響
全ての動物は酸素がないと生きていけない。また、多くの植物も酸素が必要である。しかし細菌は違っており、細菌には酸素が必要な細菌もあれば、酸素があると生きていけない細菌もいる。
はるか昔の地球にはほとんど酸素が存在しない時期があったので、これは当然のことである。そして、酸素が必要かどうかによって好気性菌、嫌気性菌、通性嫌気性菌三つに分けることができる。
・好気性菌
細菌が増殖するために酸素が必要な菌です。酸素を利用してエネルギーを生み出す。
・嫌気性菌
酸素があると生きていけない菌であり、酸素が存在しない状態でのみ増殖できる。発酵によってエネルギーを生み出すことで活動する。
・通性嫌気性菌
酸素が存在しても存在しなくても増殖できる菌である。この菌には「酸素存在下では呼吸、酸素非存在下では発酵をする菌」と「酸素の存在に関わらず発酵だけを行う菌」が存在する。
芽胞の形成
細菌によっては芽胞を形成するものがある。栄養状態や周囲の環境(乾燥、温度)など、その細菌にとって都合の悪い状況になると芽胞が形成される。芽胞を形成すると増殖が止まり、最適な環境になることでまた増殖を開始するのである。
芽胞はさまざま環境にも耐えることができる。例えば100℃の加熱に耐えることができ、エタノール消毒にも耐えることができる。つまり、エタノール消毒だけでは芽胞による汚染を取り除くことができないため、塩素系やヨードなどの消毒が必要になってくるのである。
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