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役に立つ薬の情報~専門薬学

黄色ブドウ球菌・化膿レンサ球菌・腸球菌

 

 黄色ブドウ球菌(MRSA)
○スタヒロコッカス科スタヒロコッカス属
○グラム陽球菌
○感染経路…常在菌(日和見感染)
○症状…化膿性炎症、食中毒、ブドウ球菌性皮膚剥脱症候群、毒素性ショック症候群

 

黄色ブドウ球菌はグラム陽性菌であり、その形状はブドウの房状である。この菌は食塩耐性であり、高濃度の食塩培地でも増殖することができる。

 

黄色ブドウ球菌は日和見感染菌であり、健常者に対しては病原性がない。しかし、免疫力の弱ってしまった患者に対しては病原性を示す(日和見感染)。

 

病原性には次のようなものがある。

 

・化膿性炎症
黄色ブドウ球菌は化膿を起こす菌であり、身体に炎症をおこす。敗血症を引き起こすこともある。

 

・食中毒
食物が菌に汚染されており、腸管毒素が賛成されている場合に起こる。

 

・ブドウ球菌性皮膚剥奪症候群
表皮剥脱毒素によって起こる。

 

・毒素性ショック症候群
子供の高熱、頭痛などを伴うショックである。

 

黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性であるため、加熱処理して菌を殺したとしても中毒症が起こってしまう。このように、産生される毒素が耐熱性をもつ菌による食品汚染には注意が必要である。

 

他のブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の違いは、コアグラーゼという酵素を生産するかどうかである。この酵素を生産するブドウ球菌が黄色ブドウ球菌であるまた、黄色ブドウ球菌の細胞壁にはプロテインAというタンパク質がある。これは黄色ブドウ球菌の特徴的な成分である。

 

黄色ブドウ球菌で最も問題となるのはMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)である。MRSAは多剤耐性菌である。

 

MRSAではほとんどの抗生物質が効かなくなるため、MRSAによって発病するとバンコマイシンなどのごく一部の抗生物質に頼らざるを得なくなってしまう。

 

 化膿レンサ球菌
○スタヒロコッカス科ストレプトコッカス属
○通性嫌気性グラム陽球菌
○症状…化膿性炎症、食中毒、ブドウ球菌性皮膚剥脱症候群、毒素性ショック症候群

 

化膿レンサ球菌は人食いバクテリアとも呼ばれている。通性嫌気性菌であり、酸素存在下でも非存在下でも生存することができる。芽胞は形成しない。

 

細胞表面タンパクの一つにMタンパク質がある。 化膿レンサ球菌は溶血毒素を産生し、赤血球を溶血させる。また、発熱毒素(発赤毒素,猩紅毒素)などの毒素によって発熱、発赤、猩紅熱などの症状を起こす。

 

 腸球菌感染症(VRE)
○スタヒロコッカス科エンテロコッカス属
○通性嫌気性グラム陽菌
○感染経路…常在菌(日和見感染)
○症状…化膿性炎症、食中毒、ブドウ球菌性皮膚剥脱症候群、毒素性ショック症候群

 

腸球菌には高頻度接合伝達性プラスミドが存在する。つまり、腸球菌は他の菌に対してプラスミドを伝達させやすい。VREとはバンコマイシン耐性腸球菌のことであり、すべての抗菌薬に対して耐性をもつ。

 

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