炭素菌・ジフテリア・破傷風菌
炭疽菌
○バシラス属
○通性嫌気性グラム陽性桿菌
○感染経路…空気感染
○症状…敗血症
○芽胞形成菌
バシラス属に属す通性嫌気性グラム陽桿菌である。炭疽菌は炭疽の病原体であり、この病気は人畜感染症である。芽胞を形成する菌である。
炭疽は牛、馬などの草食動物に流行しやすく、炭疽菌の芽胞で汚染した草などを食べると感染する。炭素菌は腸内などの栄養が豊富な場所で芽胞の殻を破り、血液中に入る。
ヒトへの感染経路には皮膚、肺、腸がある。皮膚炭疽、肺炭疽、腸炭疽の場合、それぞれの致死率は10~20%、>40%、25~50%となる。
ジフテリア
○コリネバクテリウム属
○通性嫌気性グラム陽性桿菌
○感染経路…空気感染
○毒素…ジフテリア毒素
○形態…棍棒状
○症状…高熱、喉の痛み、嘔吐、血圧低下
ジフテリアは無芽胞菌であり、その形状は棍棒状である。ジフテリアはヒトにのみ感染し、ジフテイラ毒素が血中に入ると麻痺を起こす。潜伏期間は2~4日であり高熱、喉の痛み、嘔吐などを起こす。
予防はDPTワクチン(三種混合ワクチン)を使用する。ジフテリア毒素への抗体の有無にはシック試験をする。
破傷風
○クロストリジウム属
○嫌気性グラム陽性桿菌
○感染経路…傷口から体内に侵入
○毒素…テタノスパスミン
○症状…開口障害、呼吸筋の痙攣
○芽胞形成菌
破傷風菌はクロストリジウム属の嫌気性のグラム陽性菌であり、土壌や哺乳動物の腸管で生息する。破傷風の病原菌であり、芽胞を形成する。
破傷風菌は神経毒素であるテタノスパスミン(破傷風毒素)を産生する。感染すると最初に開口障害(牙関緊張)が起こり、その後筋硬直による弓そり緊張を起こす。呼吸筋が痙攣を起こすと死に至る。
破傷風が悲惨な病気である理由は、病気過程での意識が明瞭なことにある。筋収縮による痛みはとても悲惨なものであるが、意識ははっきりしているのである。
治療には早期に抗毒素(破傷風免疫ヒトグロブリン)を投与することが必要である。なぜ早期かというと、毒素が神経細胞に結合した後では意味がないからである。毒素が神経細胞に結合する前に、抗毒素によって中和させないといけない。予防にはDPTワクチンが使用される。
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