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真菌感染症について

 

「真菌」とはいったいどのような生物であるかご存じでしょうか。

 

真菌にはキノコやカビ、酵母などがあります。真菌は真核生物であり、細菌とは全く異なる生物です。なお、細菌は原核生物です。

 

原核生物と真核生物の違いですが、大きな違いは核があるかないかです。つまり、DNAの周りを膜のようなもので包まれているかいないかです。真菌には核があり、細菌(原核生物)には核がありません。

 

 真菌感染症
真菌は感染部位によって分類分けされており、皮膚表面で感染する菌と内臓など皮膚より深い部分で感染する菌があります。

 

また、真菌の特徴として「感染力が比較的弱いこと」が挙げられます。ただし、免疫力が低下しているヒトに対しては別です。

 

真菌はヒトの細胞と同じように核をもっており、細胞の構造や代謝系が似ていることが問題となっています。ヒトも真菌も同じ真核細胞を有しています。

 

細胞の構造が似ていたらなぜ問題かというと、抗生物質はヒトと菌の細胞の違いを認識して攻撃するためです。細胞構造に違いが少ないと、抗生物質は選択的に菌だけを攻撃するのが難しいのです。

 

 抗真菌薬
真菌に対する薬の多くはエルゴステロールの合成を阻害します。これは、ヒトと真菌で細胞の成分が異なっているからです。

 

ヒトの細胞の主成分はコレステロールです。それに対し、真菌の細胞はエルゴステロールを含んでいます。この違いを利用するのです。

 

エルゴステロール合成を阻害すると、真菌は細胞の機能に障害が起こります。しかし、ヒトにとってエルゴステロールは関係ないのでほとんど障害が出ません。

 

なお、水虫は白癬菌という真菌によって起こります。昔は「水虫とカゼの特効薬をつくればノーベル賞」と言われていました。水虫の原因は真菌によるものであり、治療が難しかったのです。

 

なお、現在水虫は薬によって完全に治すことができます。ただし、一度塗っただけで治るのではありません。水虫の治療には時間がかかるのです。一か月以上、毎日薬を塗り続けないといけません。

 

余談ですが風邪やがんの特効薬を発見すれば本当にノーベル賞を取れるかもしれません。現在かぜの薬は症状を和らげるもので、菌を殺すものではありません。

 

また耐性菌の問題を解決することができれば、これもノーベル生理学・医学賞を受賞できるかもしれません。

 

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