痛みを抑える薬と炎症
細菌やウイルスなどの敵が侵入すると炎症反応を起こします。これによって病原菌が体全体に広がるのを防いでくれます。炎症は外敵を排除してくれる免疫系と同じように、体を守ってくれる反応なのです。
炎症の起こる仕組み
体には免疫が備わっています。この免疫があるおかげで、私たちは病気にかからず毎日を健康に過ごすことができるのです。
外から侵入してくる敵に対して白血球が退治してくれます。白血球は外敵から守るために抗体などの化学物質を作ります。この化学物質によって局所的に炎症が起こるのです。これらの化学物質は血小板からも放出されます。
炎症はしばしば痛みを伴うことがあります。これは白血球や血小板などから出る化学物質が全身に回り、頭や関節に作用して頭痛や関節痛を引き起こすからです。
アレルギー
白血球は自分自身の細胞を攻撃しないために自己と非自己認識しています。もし、自己として認識しなくなると自分自身を攻撃し、炎症を起こします。
臓器移植に対しては特に、この自己と非自己を見分ける作用が問題となります。例えば、他人の臓器を自分に移植したとします。すると、免疫系は他人の臓器を非自己と認識して攻撃を始めます。これが拒絶反応です。
アレルギーはこの自己と非自己を見分ける機能に問題が発生して起こります。花粉症や喘息もアレルギーの一つです。日本の場合、免疫系がスギ花粉を攻撃することが原因で花粉症となります。喘息患者では、肺に炎症を生じるために呼吸が困難になります。
鎮痛薬(痛みを抑える薬)
・炎症を抑える薬
炎症の薬は炎症反応などを抑えるように作用します。つまり、炎症の原因となる化学物質が抑えられます。ただし、体に必要な炎症反応も抑えるので注意が必要になるかもしれません。
・アスピリン
鎮痛薬として最も有名な物質としてアスピリンがあります。高校化学で習う「アセチルサリチル酸」の一般名がアスピリンです。アスピリンはヤナギの木に含まれるサリチル酸が変化したものです。
アスピリンは解熱鎮痛剤であり1897年にドイツのバイエル社が発売しました。実はこのアスピリンの用途は解熱鎮痛作用だけではありません。アスピリンには血液が固まるのを抑える働きもあるのです。
つまり血液がさらさらになります。すると心臓の冠動脈が詰まらなくなり、心臓病などを防ぐことができます。
しかし、アスピリンを服用して怪我でもしたら血が止まらなくなってしまいます。手術の前にアスピリンを服用するのは中止するのが良いでしょう。医師にも相談してください。
・脳に作用する薬
炎症は局所的に腫れや熱を発生させます。ただし、炎症による痛みは脳の関与なしでは説明できません。痛みを届ける情報が脳まで達しなければ痛みは発生しないからです。
こう考えると、脳で痛みを感じる部分を麻痺させれば痛みは消えるはずです。アスピリンなどの消炎鎮痛剤では我慢できないガン末期の痛みに対しては、モルヒネなどの直接脳に作用する薬(麻薬)を使用します。
もちろんモルヒネには問題があります。モルヒネは麻薬であるため、慎重な投与が必要となります。
麻薬には薬が効きにくくなる「耐性」や薬から逃れなくなる「依存性」などの問題もあります。しかし、医療として適切な監視下で使用される麻薬に関しては、これら耐性や依存が問題となることはありません。
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