細菌・ウイルスへの抗生物質
細菌、真菌
・細菌や真菌の特徴
病気になり体の中で悪さをしている細菌や真菌を殺すときに、抗生物質でヒトにまで損害を与えるのは好ましくありません。これらの細菌を殺すには「細菌には存在するが、ヒトには存在しない機構」が標的となります。
例えば細菌はヒトにはない細胞壁をもっています。もしこの細胞壁がなければ細菌は生きていくことができません。つまり、この細胞壁が標的となるのです。
・抗生物質の発見
世界で最初の抗生物質がペニシリンです。イギリスの医学者フレミングが青カビからペニシリンを発見したのは有名です。
1928年、彼は細菌の培養皿を窓のそばに放置したままにしてしまいました。すると、培養皿の中にカビが生えているのを発見しました。よく観察するとカビの周辺だけ透明になっており、細菌が溶けていることに気づきました。
このカビが作っている菌を殺す物質がペニシリンだったのです。
その後、フローリーとチェーンはこのペニシリンの抽出に成功し、抗生物質の時代の幕開けとなります。
ペニシリンの発見に対してこの3人はノーベル医学・生理学賞を受賞しました。ペニシリンは第二次世界大戦において、兵士達の感染症を治療し重大な役割を果たしました。
この発見の後に多くの抗生物質が発見され肺炎や結核、コレラなどの病気を治療していきました。そして、現在ではウイルスに対する薬も創薬されています。
ただし、これらの抗生物質時代に終わりが訪れようとしています。抗生物質がほとんど効かない菌が世界中で発生しているためです。抗生物質を投与しても病気が治らない、その原因が耐性菌です。
ウイルス
・ウイルスの特徴
ウイルスと細菌は全く別物です。
ウイルスは核酸(DNAやRNA)をたんぱく質で包んだだけの構造です。そのため、ウイルスは生物でないという研究者もいます。
ウイルスのDNAやRNAの情報には、どのようにしたら仲間のウイルスを増やせるかという情報が入っています。ウイルスは宿主細胞を乗っ取り、自分を複製させる工場に変えてしまいます。
乗っ取られた宿主細胞は何百万という新しいウイルスを作ります。すると宿主細胞は殺されてしまい、ウイルスは他の細胞に感染していきます。
・ウイルスの薬
ウイルスには抗生物質は効果がありません。抗生物質を投与してもエイズは治らないしインフルエンザも治りません。なぜなら抗生物質は細菌に効果があるのであって、ウイルスには全く効果がないからです。
ウイルスの薬は特定のウイルスにだけ作用します。インフルエンザの薬はインフルエンザウイルスだけに効果があり、エイズの薬はHIVウイルスだけに効果を表します。
実はウイルスを殺す薬を作るのは難しいのです。先ほど説明したようにウイルスはDNAやRNAを包んだだけの構造です。そのため、細菌とは違いウイルスだけに存在する特徴がほとんど存在しないのです。
ウイルスは宿主細胞を乗っ取ります。感染した細胞を攻撃するということは正常な細胞まで被害を受けることも考えられるのです。
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