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役に立つ薬の情報~専門薬学

かぜの予防

 

かぜの症状はさまざまです。その症状には鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰・発熱・頭痛などがあります。

 

かぜの予防法のポイントとしては次のようなことが一般的に言われています。
・うがい   ・手洗い   ・マスク   ・加湿
・保温   ・睡眠と栄養   ・予防接種

 

では実際にかぜにかかってしまったらどうすればいいかについても解説していきます。
・抗生物質?   ・治療薬   ・漢方薬

 

 

 うがい
うがいの効果として次のような報告があります。

 

18歳から65歳の男女384人を無造作に
① うがいをしない組
② うがいを一日3回以上水でうがいをする組
③ うがいを一日3回以上ヨード液でうがいをする組
に分けて、12~3月までの冬にかぜをひく人を調べました。

 

その結果、1ヶ月のかぜの発症率を調べると、うがいをしない組は26%の人がかぜをひき、水でうがいをした組は17%でした。つまり、水でのうがいに効果があったわけです。

 

ヨード液でうがいをした組のかぜの発症率は24%で、うがいをしなかった組の人と違いがほとんど表れませんでした。これは、ヨード液による消毒の効果もあるが、粘膜への影響も考えられるためではないかといわれています。

 

なお、インフルエンザはどうかというと、インフルエンザウイルスは気道粘膜に取り付いて約20分で細胞に取り込まれると言われています。そのため、細胞に取り込まれる前にうがいをすれば効果的ですが、これは現実的ではありません。

 

ただし、インフルエンザウイルスは湿気に弱いと言われています。そのため、うがいによって喉を潤すことは重要です。

 

 

 手洗い
かぜのウイルスの感染経路は目、鼻、口とさまざまです。

 

私達の手はいろいろなものをさわっているため、その手で鼻や口をさわると感染します。手洗いは意外と効果的です。

 

 マスク
通常のマスクの穴の大きさとウイルスの大きさを比較すると、ウイルスの大きさはマスクの穴の大きさの500分の1です。

 

つまり、ウイルスをピンポン玉の大きさだとすると穴の大きさはだいたいテニスコート一枚半の面積と同じくらいです。

 

これではマスクでウイルス感染を完全に防ぐことは無理です。ウイルスの大きさはマスクの穴の大きさに対して小さすぎるのです。ただし、これは空気感染するウイルスに限ります。

 

例えば、インフルエンザは空気中に漂っているウイルスを吸い込むことで感染するのではなく、くしゃみなどの飛沫状態のインフルエンザウイルスを吸い込むことで感染します。

 

このような飛沫はマスクの穴より大きいため、インフルエンザに関してはマスクによって防ぐことができます。

 

要は飛沫などによって感染するウイルスではなく、空気中を漂うウイルスによる感染をマスクでは防ぐことはできないということです。

 

ただし、マスクをすることで、「吐息によってマスクを湿気らせる」などを考慮すると、空気中のウイルスによる感染もある程度はマスクの効果があるのかもしれません。

 

 

 加湿
インフルエンザがなぜ冬に大流行するか。それは乾燥と低温にあります。インフルエンザウイルスは冬の乾燥低温の条件で長く生きることができます。

 

ある実験では、閉め切った大きな箱の中の温度を20℃に設定し、その箱の中の湿度を20%してインフルエンザウイルスを吹き込み、6時間後のウイルスの生存率を調べました。その結果、70%のウイルスが生きていました。

 

同じ温度で湿度を50%に上げると3%のウイルスしか生きていませんでした。次に湿度は20%で温度を32℃にするとウイルスは17%に減少していました。

 

インフルエンザにかかりたくないなら、部屋の温度と湿度を高くすることが考えられます。

 

ただし、冬に温度を32℃前後までにするのはあまり現実的ではないので、湿度を高くしておくことが重要になってきます。

 

また、夏のかぜは湿気に強いので注意が必要です。

 

 

 保温
私達の体はウイルスなどの外敵から身を守るためにさまざまな機能があります。鼻やのどはウイルスや細菌が侵入しにくいように働いています。しかし、寒い場合は働きが鈍ってしまうため、ウイルスが体の中に侵入しやすくなります。

 

つまり、体を温めておくことがかぜの予防につながります。

 

 

 睡眠と栄養
これが一番のかぜの予防法であり、治療法かもしれません。十分に睡眠をとり適切な食事によってかぜに負けない体をつくる。適度な運動によってストレスをためない。これが大切です。

 

喫煙をしている人は、かぜのときくらいタバコを吸うのをやめましょう。

 

 

 予防接種
インフルエンザワクチンの効果は完全ではありません。しかし、効果があることは確かです。このワクチンは抵抗力がつくまでに2週間程度かかり、その効果が十分に持続する期間は約5ヶ月間とされています。

 

「インフルエンザワクチンが効かない」という人もいますが、そんなことはありません。インフルエンザを予防し肺炎や入院、死亡を減らすという研究報告がされています。

 

 

それでは実際にかぜにかかったらどうすればいいのでしょうか。

 

 抗生物質?
かぜの特効薬は存在しません。かぜの原因は80~90%がウイルスです。その数は400種類以上にもなります。

 

抗生物質は細菌に効く薬であり、ウイルスには効果がありません。

 

抗インフルエンザ薬など特定のウイルスだけに効く特効薬なら存在しますが、「かぜの特効薬」のようにさまざまなウイルスに効果のある薬はありません。そのため、抗生物質を飲んでもかぜの症状は改善しません。

 

どんなウイルスにも効果がある薬の開発はとても難しいです。これがかぜの特効薬を開発すればノーベル賞といわれる理由です。

 

例えば、タミフルなど、インフルエンザに対する薬はインフルエンザウイルスに対してのみ効果を表します。

 

 

 治療薬
現在はかぜの症状をやわらげる薬しかありません。これらの薬としては熱、咳、痰、鼻みずなどに対する薬があります。

 

これらの薬は飲むと副作用として眠くなったりします。体を休めないといけないときは、かえってこの副作用は好都合かもしれません。

 

また、私達は病原菌の活動を抑えるために熱をだします。これにより体の免疫が外敵を退治しやすくします。

 

そのため、薬によって無理に熱を下げるとかえってかぜは長びきます。しかし、熱をさげることで症状が軽くなることは確かです。早くかぜを治すことが大事か症状を軽くすることが大事かは自分自身で決めることです。

 

 

 漢方薬
漢方薬は有効成分が多く多彩な効果が期待でき、広範囲の病気に有効です。体内を正常な方向へ調節する作用があり、免疫力を高める効果があります。漢方薬それ自体には殺菌作用はありませんが、この免疫力を高める作用によってかぜに抵抗します。

 

漢方薬の種類は多いです。そのため同じ病気でも、症状に応じた漢方薬の服用が必要です。ただ単にかぜといっても「のどからくるかぜ」、「熱からくるかぜ」、「鼻からくるかぜ」とさまざまです。

 

かぜの初期には葛根湯とよくいわれます。葛根湯は風邪の初期で体がゾクゾクする悪寒や発熱、頭痛に有効です。

 

しかし、葛根湯は体が丈夫でない人、例えばやせ細った老人などには普通使用しません。漢方薬は熱、咳、痰、鼻水など、その人の症状や体質によって使い分けることが大切です。

 

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