体内時計の概論
私たちの体には体内時計があります。そして、この体内時計は適切に時間を刻むように働いています。
一般に、この体内時計が乱れると「不眠」に陥るといわれています。
なお、時差ボケは体内時計が現地の時間と合っていないために起こります。日本では昼間の時間なのに、現地では夜。つまり、体内時計では昼の時間を刻んでいるのに現地は夜という状況です。これによって寝にくい状況となるのです。
キーワード:視交叉上核
体内時計の調節
体内時計は一定のリズムを刻むように調節されています。このような調節を行う場所が脳の中にあり、この場所を「視交叉上核」といいます。つまり、視交叉上核が体内時計を調節しているのです。
「朝に光を浴びると、体内時計をリセットすることができる」とよく言われますが、もっと正しく表現すると「朝に光を浴びると、体内時計を早く進める」ということになります。
それでは、昼または夜に光を浴びるとどうなるのでしょうか。
昼に光を浴びても時計は早くも遅くも進みません。しかし、夜に光を浴びると時計の進む速度を遅らせてしまいます。
そのため、夜遅くまでパソコンやテレビなどの光を浴び続けることは、体内時計の観点から言えばあまり良くありません。
時計遺伝子
体内時計は遺伝子によって制御されており、この遺伝子を時計遺伝子と言います。実は体内時計は脳だけでなく、肝臓や神経、皮膚などさまざまな場所に存在するのです。
それでは、この時計遺伝子が欠損しているとどうなるのでしょうか。
時計遺伝子が欠損しているヒトの中に、家族性睡眠位相前進症候群(FASPS)という病気のヒトがいます。
この病気のヒトは時計遺伝子が制御されていないため、体内時計がどんどん早く進んでいきます。そのため、起きることのできる時間が短く、比較的早く眠くなってしまいます。
体内時計と寿命の関係
それでは、「体内時計が速く進む人は、その分だけ寿命が短いのか」というと、実はそうでもありません。
体内時計は一日のリズムを刻むものであって、寿命には関係しません。
「時計遺伝子に変異を起こしたマウス」と「正常なマウス」の寿命を調べたところ、時計遺伝子に変異を起こしたマウスの方が一日のサイクルは短いが、寿命はほとんど変わらなかったという結果が出ています。
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