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役に立つ薬の情報~専門薬学

病気による睡眠障害

 

不規則な生活などによって不眠症が引き起こされますが、他の病気によって睡眠障害が引き起こされることもあります。

 

もし他の病気によって睡眠の質が落ちているのであれば、その病気を治療することを考えなければいけません。

 

 うつ病に伴う睡眠障害
精神疾患(気分障害)による心の病気で睡眠障害を引き起こす代表的な病気としてうつ病があります。うつ病患者に高頻度で表れる症状が睡眠障害です。

 

睡眠障害には入眠障害や熟眠障害などさまざまな種類がありますが、その中でもうつ病は特に早朝覚醒が問題となります。夜中の3時や4時に目が覚めて、それから眠れなくなります。2~3時間眠ると目が覚めてしまうのです。

 

 うつ病に伴う睡眠障害

 

このような症状のために食欲減退や体重減少などを引き起こし、より気分が落ちていくという悪循環に陥ってしまいます。

 

脳内にはそれぞれの情報を伝えるためのシグナルが存在しますが、うつ病患者ではこの脳内のシグナルに異常が起こっています。具体的には、「意欲・活力」などに関わるセロトニンやノルアドレナリンの分泌が減少しています。

 

 うつ病と睡眠障害

 

睡眠に関する行動もうつ病と同じように、脳内のシグナル(神経伝達物質)が関与しています。そのため、脳内の情報伝達に異常が起こっているうつ病では睡眠障害が起こりやすくなっています。

 

そして重要なのは、セロトニンは体内時計に関与しているメラトニンの合成にも関わっていることがあります。メラトニンはセロトニンから合成されるため、セロトニンの量が少なくなっているうつ病患者ではメラトニンの量も減ってしまいます。

 

前述の通り、メラトニンは体内時計の調節に関与しているため、このメラトニン量が少なくなることによっても睡眠障害が引き起こされます。なお、うつ病に伴う睡眠障害は不眠だけでなく、必要以上に眠ってしまう過眠もあります。

 

 睡眠時無呼吸症候群
眠っている最中に無呼吸(10秒以上息が止まる)の状態が何回も出現すると、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。無呼吸の状態では脳に酸素が送られていないため、睡眠の質が低下してしまいます。そのため、睡眠時無呼吸症候群では熟眠障害が問題となります。

 

睡眠時無呼吸症候群では昼間の眠気や集中力の低下などを引き起こします。この時、睡眠時無呼吸症候群の原因としては「閉塞性」と「中枢性」の二種類に分けられます。

 

 ・閉塞性睡眠時無呼吸症候群
喉の気道が狭くなることによって起こる睡眠時無呼吸症候群閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼びます。閉塞性睡眠時無呼吸症候群では肥満との関係性が強く、肥満であるために喉の気道が圧迫されて狭くなっています。

 

生活習慣の改善(アルコールを控える・禁煙)や睡眠中の体位を変える(仰向けではなく、横向きで寝る)などが治療法として挙げられます。

 

 ・中枢性睡眠時無呼吸症候群
呼吸は脳が判断して行っていますが、この呼吸をするための判断部位として「呼吸中枢」があります。つまり、この呼吸中枢の働きに異常が起こっている場合、睡眠時に無呼吸の状態が表れてしまいます。

 

このような中枢性睡眠時無呼吸症候群は心不全や脳梗塞に伴って発症することが多いです。閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは違い、喉が狭くなっているために起こる訳ではありません。

 

 睡眠時無呼吸症候群

 

 むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
むずむず脚症候群とは、じっとしている姿勢を保っていると脚に不快な感覚が伴う病気のことです。この不快な症状とは、「ムズムズ感」や「虫が這うような感覚」、「痒み」などがあります。

 

脚を動かしているとこれら不快な症状が治まるため、症状を和らげるために脚を動かし続けるようになります。その結果、不眠などの睡眠障害が引き起こされます。

 

 むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

 

また、むずむず脚症候群患者は周期性四肢運動障害を併発している人も多いです。周期性四肢運動障害とは下半身の筋肉がけいれんすることです。そのため、眠っていると今度は脚がピクンピクンと動きます。

 

この結果として中途覚醒が多くなり、深く眠ることが出来なくなってしまいます。

 

 周期性四肢運動障害

 

このように、むずむず脚症候群による睡眠障害としては「脚を動かし続けることによる入眠障害」や「眠っているときに起こる脚のけいれんによる中途覚醒」などがあります。

 

 ナルコレプシー
睡眠障害の症状は不眠だけではありません。眠くなり過ぎる睡眠障害もあります。私たちは昼に活動を行い、夜になったら眠ります。このとき、日中に眠たくなることもあります。学校での授業や会社での会議など、これらの眠気と戦いながら時間を過ごさなければいけません。

 

しかし、日中にいくら眠たくなると言っても、例えば「営業で重要な商談をしている最中」や「運動をしている時」などで眠くなることはないと思います。

 

このように、通常の人であれば眠くならないような場面であっても、病気によって強烈な眠気に襲われてしまい上記で挙げた場面でも眠ってしまうことがあります。このような病気をナルコレプシーと言います。

 

 ・ナルコレプシーの主な症状
ナルコレプシーでは次のような症状が表れます。

 

 ① 昼に突然眠くなる(睡眠発作)
試験中などの緊張感のある場面であっても眠ってしまいます。30分程度の眠りを一日に何回も繰り返します。

 

 ② 急に力が抜けてしまう(情動脱力発作)
「嬉しい」、「悲しい」などの喜怒哀楽が強く働いた時、全身の力が抜けてしまいます。

 

 ③ 睡眠麻痺
眠る前や目覚めた直後などに金縛りが起こります。

 

 ④ 入眠時幻覚
睡眠発作によって眠ってしまった時、強い幻覚を見ることがあります。このとき、何者かに襲われるなど恐怖や不快感を伴う幻覚を見ます。

 

 

ナルコレプシーによる昼間の激しい眠気を改善する薬としては、脳内の神経伝達物質の働きを活発にさせる薬が使用されます。つまり、神経細胞を活性化させることで眠たくさせないようにします。

 

また、薬だけでなく生活習慣を改善することも大切です。例えば、「昼休みや夕方に短い睡眠をする」などがあります。これによって、睡眠をコントロールしやすくなります。

 

 ナルコレプシーの治療

 

なお、昼は脳を活性化させる薬を使用しますが、夜は反対によく眠ることができるようにする必要があります。そのため、夜に服用する薬として睡眠導入剤を使用することもあります。

 

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