関節リウマチの症状とリウマトイド因子(自己抗体)
関節リウマチは原因不明の病気です。そのために「この検査を行えば必ず関節リウマチかどうかが分かる」という検査方法はありません。
がんも同じように原因不明の病気ですが、がんの場合はがん細胞の存在が確認されれば間違いなくがんであることが分かります。一方、関節リウマチをはじめとする膠原病では、これといった確実な判定方法がないのです。
そこで、関節リウマチでは「病気の手がかり」を見つけていきます。患者さんの症状や検査値から得られたデータをもとにして総合的に判断するのです。関節リウマチの診断としては、自己抗体や患者さんの症状、そして炎症の程度などが基準となります。
以下の症状を確認したときに関節リウマチを疑います。
患者さんの症状
・朝のこわばり
関節リウマチの患者さんでは、朝起きた時に関節が思い通り動かないことがあります。これを朝のこわばりと表現します。
朝のこわばりが1時間以上続くようであると、関節リウマチが疑われるようになります。
・関節症状
関節リウマチでは指や足の関節、肘、膝などに腫れや痛みを生じます。この時の症状は左右対称に表れます。つまり、例えば左手の関節に症状が表れると、右手の関節にも同じように症状が表れます。
このような左右対称に表れる症状がいくつもの関節で確認されるようになると、関節リウマチが疑われるようになります。
・体が疲れやすい、だるい
関節だけに症状が表れるのが関節リウマチではありません。関節という局所のみならず、疲れやすい、だるい、微熱などの全身症状を生じることがあります。
また、貧血になったり肺や血管に炎症を起こしたりします。関節リウマチでは、全身にさまざまな症状を発症してしまうケースがあります。
自己抗体:リウマトイド因子
免疫は自分自身に対して攻撃を仕掛けることはありません。病原菌などの異物が侵入してきたときだけ反応します。しかし、中には免疫が過剰になってしまい、自分を攻撃するようになることがあります。このような状態が関節リウマチであり、膠原病です。
免疫が病原微生物に攻撃するとき、抗体の働きが重要になります。ただ、関節リウマチ患者では、自分自身に対する抗体が形成されています。これを、自己抗体といいます。自己抗体が存在するために、本来は攻撃を受けない自分の関節にダメージを与えてしまうのです。
そこで、病気の検査を行うときは「自己抗体を見つめること」が一つの手がかりになります。ただし、自己抗体が存在するかどうかだけを見極めるだけでは不十分です。
例えば、関節リウマチであれば「自己抗体検出」や「朝のこわばりなど、関節リウマチ特有の症状が出ている」など、複数の条件が揃わなければいけません。どちらか一方だけの症状が表れていても、病気とは診断されないのです。
例えば、関節リウマチで重要になる自己抗体として「リウマトイド因子」が知られています。リウマトイド因子はタンパク質の一種であり、生体に存在するIgGと呼ばれる抗体を認識・攻撃する抗体です。特定の抗体を無効化する抗体ともいえます。関節リウマチ患者の血液に多く見られる成分がリウマトイド因子です。
ただ、関節リウマチ患者でリウマトイド因子が検出される方は全体の約80%であるといわれています。逆にいえば、残りの約20%の人は関節リウマチを発症していたとしても陰性と判定されてしまいます。
このような理由があるため、たとえ自己抗体(リウマトイド因子)が陰性だからとって、関節リウマチでないとは断定できません。逆も同じであり、リウマトイド因子が検出されたからといって、必ずしも関節リウマチであるとは限りません。他の病気でも、リウマトイド因子が検出されることがあるからです。
そこで、朝のこわばりや関節炎、症状の対称性などを診断することで、関節リウマチを発症しているかどうか確認します。
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