膠原病・関節リウマチの違いと症状
リウマチとは、関節に痛みが起こる病気の総称です。そのため、足の付け根に強烈な痛みが起こる痛風は広い意味でリウマチの一種です。膝などの関節に痛みが起こる変形性関節症もリウマチです。
ただそのような中でも、一般的に関節リウマチのことを狭い意味でリウマチと呼びます。リウマチと関節リウマチの言葉の違いを理解したうえで、ここでは関節リウマチについて解説していきます。
膠原病と関節リウマチの違い
リウマチの治療を考えるとき、膠原病(こうげんびょう)という言葉を聞くようになります。そこで、「膠原病とは一体何者か」について話を進めていきます。
多くの病気はそれぞれの臓器ごとに分類することができます。心臓や肝臓、胃・小腸、脳などによって発生する病気が違ってきます。
例えば、糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなることによって発症します。この場合はすい臓の機能が糖尿病と密接に関わっていることが分かります。他にも、肝炎であれば肝臓の機能が悪くなっています。
しかし、中には臓器ごとで分けることが困難な病気があります。このような病気としては、症状が皮膚や骨格筋、神経、消化管、肺、心臓など全身に及んでしまう疾患が挙げられます。
この例として、全身の臓器に炎症が起こってしまう「全身性エリテマトーデス」と呼ばれる病気があります。あらゆる組織や臓器に障害が起こってしまうため、特定の臓器だけで判断することができません。
このように全身に炎症が起こることで、さまざまな臓器障害を引き起こす病気を総称して膠原病と呼びます。関節リウマチは膠原病の一種であり、特に関節に対して炎症が起こってしまう病気です。
関節リウマチの症状
関節リウマチでは、炎症が起こることで関節が腫れてしまいます。軟骨や骨が破壊されることによって関節の機能が失われていき、放っておくと関節が変形します。全身の関節が腫れてしまいますが、特に手足の関節で症状が表れやすいです。
この時に起こる関節の痛みとしては、片方だけでなく左右対称に起こることが特徴です。症状が進行すると、関節の破壊によって日常生活が困難になります。また、関節などの症状だけでなく疲労倦怠感や微熱、食欲不振などの全身症状も表れます。さらに、炎症が皮膚や肺にまで広がることもある病気です。つまり、関節以外の臓器にも症状が表れることがあります。
関節リウマチは女性に多い疾患であり、患者の約8割が女性です。男性よりも女性の方が4倍発症しやすい病気です。
また、関節リウマチは必ずしもお年寄りの病気ではありません。多くは30~50代で発症します。特に40代という働き盛りの年代での発症が多い病気です。
この時、関節リウマチには大きく3つの症状が表れます。
・朝に手足のこわばり
手足のこわばりとは、手足の関節が硬く、腫れぼったくて動かしにくい状態を指します。関節に炎症が起こることによって、このような手足のこわばりが起こります。そのことから、「手足のこわばり」は関節リウマチの判断基準の1つとなっています。
朝起きたときに手や足を動かしにくい状態が1時間以上続くようであれば、関節リウマチの可能性があります。
・関節の腫れや痛み
ただ単に関節の腫れや痛みがあるだけでなく、関節リウマチによる炎症には特徴があります。それは、「手の指や足の関節から炎症が起こる」ことです。
また、片側の関節だけでなく、左右対称に両方の関節で症状が表れます。3ヶ所以上の関節で同時に起こることも特徴です。
・骨の変形と破壊
関節で炎症が持続的に発生していると、関節の骨が侵されていきます。その結果、骨の変形や破壊が起こってしまいます。
末期まで症状が進行すると、関節が強直・固定してしまって動かなくなります。
関節リウマチの発症
関節リウマチの発症には、免疫機構が大きく関わっています。病原菌などによって感染症を発症すると、病原菌を退治するための機構が働きます。この機構が免疫です。免疫系が働いているために感染症に罹らなかったり、症状から回復したりすることができます。
私たちの免疫系は感染症に対抗するだけでなく、がんの抑制も行っています。がん細胞が発生したとき、素早く免疫細胞ががん細胞を排除します。これによって、がんの発生を抑えることができます。
このように、免疫系は健康に過ごすために必要不可欠な機能です。
免疫が弱ってしまうと、病原菌に対抗することができなくなってしまい、肺炎などの感染症を引き起こしやすくなります。病気によって免疫が弱くなってしまう病気として、免疫不全があります。
この免疫不全を引き起こす病気としては、エイズが有名です。エイズの原因ウイルスであるHIVが免疫細胞を機能不全にしてしまうのです。他にも、栄養失調や薬の副作用などによっても免疫機能が落ちてしまいます。
ただし、免疫機能が活発になり過ぎることでも病気が起きてしまいます。
免疫が病原菌やがん細胞を攻撃するには全く問題ありませんが、免疫がより活発になると自分自身や全く問題ない物質まで攻撃を始めるようになります。
このように、免疫が活発になることで発症する病気としては花粉症が有名です。植物の花粉自体は無害の物質です。しかし、この花粉に対して免疫系が攻撃し始めることによって、鼻水やくしゃみなどの症状を引き起こすようになります。花粉症など、いわゆるアレルギー反応は免疫が過剰に反応することによって起こるのです。
そして、関節リウマチをはじめとして、膠原病を理解する上で「免疫が活発になり過ぎている状態」がとても重要になります。
免疫反応が過剰になっているために、自分自身を攻撃してしまう病気を総称して自己免疫疾患と呼びます。関節リウマチなどの膠原病は自己免疫疾患の一種であり、自分の免疫が自分自身を攻撃するために炎症を引き起こしてしまいます。
そのため、これら関節リウマチの治療を行うためには「免疫が活発になっている状態を抑える薬」を使用すれば良いことが分かります。また、炎症が起こっているために「炎症を抑える薬」も有効であると分かります。簡単に考えれば、このような理解の上で関節リウマチの薬の作用機序をひも解いていけば問題ありません。
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