パーキンソン病の概要と重症度分類
パーキンソン病を簡単に言ってしまえば、体がスムーズに動けなくなってしまう病気です。体の動きが悪くなるので動きが遅くなったり(無動)、バランスが取りづらくなったりします(姿勢反射障害)。
体の動きは脳で制御されています。そのため、この脳の働きに異常が起こってしまうと、体の動きに支障が出てしまいます。つまり、脳からの指令が伝わりにくくなることによって体が動きづらくなります。
パーキンソン病では、このような運動障害を起こします。
パーキンソン病の概要
パーキンソン病は約1000人に1人の割合で発症すると言われています。主に50~60歳代で発症することが多く、その病気の進行はゆっくりです。
遺伝によって若い頃にパーキンソン病を発症することもありますが、これは全体の5%以下とされています。
この病気では脳の構造に異常が起きています。もっと言えば、パーキンソン病では脳の神経伝達物質のバランスが崩れています。
体を動かすためには、脳からシグナルとして指令が出なければいけません。この時、神経細胞同士でシグナルの伝達を行う物質が神経伝達物質です。そのため、この神経伝達物質の働きが悪くなってしまうと、体の動きも悪化してしまいます。
この時、パーキンソン病を考える上で重要となる神経伝達物質としてドパミンがあります。つまり、体を動かすための機能調節にドパミンが関与しています。パーキンソン病患者では、このドパミン量が減少しているために体が動きづらくなってしまいます。
そして、この脳内でのドパミン量が減ってしまう原因としては「脳の神経細胞が減少する」という事があります。老化現象によっても神経細胞は減っていきますが、パーキンソン病ではより神経細胞の死滅が加速していきます。
この時にパーキンソン病で死滅していく脳の部位として「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部位があります。この黒質でドパミンが作られているため、この黒質の細胞が減少するとドパミン量も減ってしまいます。
なお、この細胞は実際に黒く見えるために黒質と呼ばれています。そのため、黒質の細胞が減少しているパーキンソン病患者では、本来黒質によって黒くなっている脳の部分が薄くなって見えます。
このように、パーキンソン病患者では脳内における黒質の細胞が減少し、ドパミン量が少なくなっています。運動機能の調節に関わるドパミンが少なくなっているため、体の動きに支障が出てしまいます。
パーキンソン病の重症度(ヤールの重症度分類)
パーキンソン病の重症度を表す指標としては「ホーエン・ヤールの重症度分類」と呼ばれる指標があります。ホーエンさんとヤールさんが作った分類方法であり、症状が軽いものから重いものまでⅠ~Ⅴの段階に分けます。
この重症度分類はパーキンソン病の症状の重さや治療効果を測定するための指標として広く活用されています。
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