役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

薬に頼らなくても生活習慣病は治る

 

病気に罹ったとき、私たちは薬に頼ります。薬の果たす役割は大きく、ステロイド吸入薬の普及に伴って喘息死の人数が少なくなり、薬の開発によって現在ではエイズは死の病気ではなくなりました。

 

薬によって病気の症状を抑え、健康な生活を送れる人を増やすために薬は重要です。ただ、生活習慣病に限っていえば薬に頼らなくても病気を治すことができます。

 

 薬なしで生活習慣病を治すには
細菌感染症やぜんそくなど、薬に頼らなければどうしようもない病気が存在します。一方、高血圧や高脂血症(脂質異常症)は考え方を変えるだけで誰でも治すことができます。それは、「生活習慣を改める」というだけです。もっと言えば、

 

 ・太っている人は痩せる
 ・飲み会が多い人はその回数を少なくする
 ・タバコを吸っている人は喫煙を止める

 

などです。実際、私の父親がそうでした。

 

私の父親は太っていました。見るからに肥満体質です。そのせいか、高血圧や高脂血症(脂質異常症)を発症し、たくさんお薬を飲んでいます。糖尿病は発症していないものの、いつ発症してもおかしくありません。医者に「痩せればもっと症状が良くなるのに」と何回も言われているが、聞き入れようとはしません。

 

そんなある日、バイクを運転中に横転して鎖骨を骨折しました。3日間の入院です。そんなとき、病室で「こんな大けがをしてしまい、せめて痩せるなど、自分にとって何か良いことがないといけない」と思ったようです。

 

きっかけが「バイク事故」とよく分からない理由ですが、痩せようと思うこと自体は良いことです。

 

しかし、ここで問題が起こります。父親は運動が大嫌いでした。これまで、何十年間も運動をしていないという筋金入りです。しかも、既に退職して年金生活に入る年齢です。むしろ家でゴロゴロしている時間が多く、昼寝もバッチリ行います。

 

ただ、運動をしない代わりに「食事量を減らす」ことを行いました。たったこれだけですが、数ヶ月のうちに体重が減っていき、今では標準体重になってしまいました。血圧は正常値に戻り、血液中に存在する脂質の値は健康な値を示すようになったのです。

 

大雑把ではありますが、人間の体重が増えるには「摂取カロリー>消費カロリー」という単純な公式が成り立っています。摂取カロリーを減らすことで、ダイエットに成功したのです。

 

 痩せれば生活習慣病は治る
糖尿病や高血圧の基本となる治療法は「食事療法」と「運動療法」です。これらを実施しても症状がコントロールできない場合に限り、薬が使用されます。

 

そのため、生活習慣病の場合、文字通り生活習慣を改善するだけで病気が治ります。少なくとも、薬の数を減らすことは誰でもできます。病気の症状が軽くなり、薬の数が減り、医療費負担も少なくなるので良いことしかありません。

 

ただし、生活習慣病の方は「生活習慣を改めようとしない人」が比較的多いです。そもそも、生活習慣に気を付けることのできる人であれば、生活習慣病を発症していないので当然かもしれません。

 

とは言うものの、現在は薬だけの力で生活習慣病の症状を何とか抑えようとしている傾向が強いです。そこで、「生活習慣病は薬がなくても治る」ことをしっかり伝え、薬を減らせるように指導していける人が増えれば、健康に過ごせる人は多くなるのではと思います。

 

もちろん、薬に頼るべきときは、きちんと薬を服用して病気を治療していく必要があります。しかし、薬に頼らなくてもいい場合は、適切な指導によって病気をコントロールしていきます。

 

病気を発症したら「すぐに薬」ではなく、症状を見極めて患者さんに合わせた指示を行っていくということです。この役割を薬剤師が担えないだろうかと考えています。

 

スポンサードリンク



スポンサードリンク